丸川男子!

丸川男子~~~!?
取締役の部屋に集められた面々は、突拍子もない提案に抗議の声を上げた。

エメラルド編集部の5人は、取締役の部屋へと足を踏み入れた。
この部屋の主である専務取締役の井坂に呼ばれたからだ。
広い部屋の奥には、井坂と秘書の朝比奈が立っている。
そしてその他にもすでに10名程の社員がいた。
その中には、ジャプンの編集長の桐嶋や営業の横澤もいた。

井坂はエメ編の5人を見ると「よし」と小さく頷いている。
どうやら呼び出された社員は、全員揃ったらしい。
そして「コホン」と咳払いをすると、おもむろに口を開いた。

我が社の中からイケメンをピックアップして写真集を出す計画がある。題して「丸川男子」だ。
一瞬、集められた社員たちは、見事に全員がポカンとした表情になった。
何を言われたのか、瞬時に理解できなかったのだ。
だがすぐに井坂の言葉の意味を理解し、唖然とした。
まさかと思ったが、見れば集められた社員は女子社員に人気の高い美青年が多い。
つまりここに集められた社員たちは「丸川男子」なる写真集のモデルに選ばれたということだ。

よくよく見ると部屋の隅には、写真集を担当する編集部員が立っていた。
どうやら発案は彼の部署なのだろう。
企画を通すに当たり、選ばれた社員たちの反発は予想できる。
だから事前に取締役に話を通して、説得を頼んだということだ。
何人かいる取締役のうち、井坂を選んだのは上手い選択と認めざるを得ない。
悪戯心は旺盛だし、何より本が売れるためなら手段を選ばない人間だ。
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