絵梨佳様のヒトリゴト

まるで少女漫画みたい。どこかで使えないかしら。
そんなことを考えながら、私はその光景を見ていた。

私は今日、丸川書店の新年会に来ている。
毎年思うのだけれど、無駄に派手だ。
一流ホテルの煌びやかな大ホール、豪華な食事、着飾った人々。
正直なところ面倒だと思うこともあるけど、これも仕事の一環だ。
お世話になっている編集部の人たちだけではない。
書店だとか、ドラマ化やアニメ化のスタッフなんかも来る。
きちんと挨拶をすることが、次の仕事につながる。

なーんて言うと、プロっぽくてカッコいいでしょ。
実は結構ドロドロしてたりするのよ。
一応作家仲間同士、仲がよさそうには振舞っているんだけど。
その実、妙に競い合ったりしている。

そうね。例えばアクセサリー。
安っぽいのをしてると、あの作家は部数が落ちたのかなんて言われちゃう。
ドレスなんかも以前と同じものを使い回そうものなら、もう陰でボロクソよ。
だからみんなこの日のために、有名ブランドとかオーダーメイドで全身武装するわけ。

要するに新年会なんて、作家にとっては見栄の張り合い。
馬鹿馬鹿しいって思うんだけど、こういうところに力が入っちゃう。
やっぱり少女漫画の作家って女ばかりだからね。
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