千秋と律のお正月
「こういう世界が実在するんだ。。。」
吉野は目の前に繰り広げられる光景を、どこか呆然と眺めていた。
年が明けたばかりの元日、吉野千秋はとある家に招かれていた。
そこは月刊エメラルドの編集部員、小野寺律の実家だ。
だが「実家」という言葉で呼んでいいのだろうか?
とにかく豪華で立派で、吉野が持っている「家」という概念を大きく覆している。
発端は漫画のネタだった。
新連載は、ヒロインが資産家の令嬢という設定にしようと思っている。
上流階級の雰囲気を見てみたい。
できればパーティとかを見学できればいいのだが。
担当編集であり恋人の羽鳥に相談した。
そこで新年、律の実家、小野寺家へ招かれることになったのだ。
吉野は元日、羽鳥と編集長の高野と3人で小野寺邸にやって来た。
律は年末から実家に戻っているそうで、家の前で出迎えてくれる。
なんと律は和装だった。
長着に袴、その上に羽織をつけている。
律は照れくさそうに「親が着ろってうるさくて」と苦笑した。
「それだとちょっと浮いちゃいそうですね。」
律はジーパン姿の吉野を見て、困った表情になった。
吉野は「え!?」と声を上げると、助けを求めるように羽鳥を見た。
実は出かける前に、羽鳥にジーパンはまずいのではないかと言われたのだ。
だが吉野はスーツは1着しか持っておらず、しかもクリーニングに出していた。
まぁ何とかなるっしょ、とそれでも手持ちの服の中で一番気に入っているものをチョイスしたのだ。
ちなみに羽鳥と高野はしっかりとスーツを着ている。
「よかったら着替えます?俺の服、貸しますよ。」
「いいんですか?」
「もちろん。ドレスコードを言わなかった俺のせいですし。」
律は余裕の笑顔で吉野たちを招き入れると、邸内にいた男性を呼び止めた。
どうやら使用人のようだ。
律は自分より遥か年齢が上の人物に「あの服をこちらの方に」などと指示している。
小野寺さんって、本当に御曹司なんだ。
吉野はそんな律を見ながら、実感する。
気負うこともない堂々とした自然体。
華やかな場の雰囲気にしっくりと溶け込んでいるのだ。
かくして律の服を借りた吉野は、小野寺家の正月のイベントに参加した。
そして繰り広げられる上流階級の祭典に、ただただ驚くばかりだった。
吉野は目の前に繰り広げられる光景を、どこか呆然と眺めていた。
年が明けたばかりの元日、吉野千秋はとある家に招かれていた。
そこは月刊エメラルドの編集部員、小野寺律の実家だ。
だが「実家」という言葉で呼んでいいのだろうか?
とにかく豪華で立派で、吉野が持っている「家」という概念を大きく覆している。
発端は漫画のネタだった。
新連載は、ヒロインが資産家の令嬢という設定にしようと思っている。
上流階級の雰囲気を見てみたい。
できればパーティとかを見学できればいいのだが。
担当編集であり恋人の羽鳥に相談した。
そこで新年、律の実家、小野寺家へ招かれることになったのだ。
吉野は元日、羽鳥と編集長の高野と3人で小野寺邸にやって来た。
律は年末から実家に戻っているそうで、家の前で出迎えてくれる。
なんと律は和装だった。
長着に袴、その上に羽織をつけている。
律は照れくさそうに「親が着ろってうるさくて」と苦笑した。
「それだとちょっと浮いちゃいそうですね。」
律はジーパン姿の吉野を見て、困った表情になった。
吉野は「え!?」と声を上げると、助けを求めるように羽鳥を見た。
実は出かける前に、羽鳥にジーパンはまずいのではないかと言われたのだ。
だが吉野はスーツは1着しか持っておらず、しかもクリーニングに出していた。
まぁ何とかなるっしょ、とそれでも手持ちの服の中で一番気に入っているものをチョイスしたのだ。
ちなみに羽鳥と高野はしっかりとスーツを着ている。
「よかったら着替えます?俺の服、貸しますよ。」
「いいんですか?」
「もちろん。ドレスコードを言わなかった俺のせいですし。」
律は余裕の笑顔で吉野たちを招き入れると、邸内にいた男性を呼び止めた。
どうやら使用人のようだ。
律は自分より遥か年齢が上の人物に「あの服をこちらの方に」などと指示している。
小野寺さんって、本当に御曹司なんだ。
吉野はそんな律を見ながら、実感する。
気負うこともない堂々とした自然体。
華やかな場の雰囲気にしっくりと溶け込んでいるのだ。
かくして律の服を借りた吉野は、小野寺家の正月のイベントに参加した。
そして繰り広げられる上流階級の祭典に、ただただ驚くばかりだった。
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