千秋と律の異世界物語10
『すっごく面白かったよ~♪』
スマホの向こうから、幼なじみの涼やかな声が聞こえる。
律は「ホント?」と聞き返し「嬉しい」と笑った。
吉川千春の異世界漫画プロジェクトは新たな展開に突入した。
ジャプンの超人気漫画「ゲテモノ料理人・ザ☆漢」とのコラボが実現したのだ。
双方の作品にキャラが乱入し、愉快な化学反応を起こしている。
そして両作品の読者は大いに盛り上がっていた。
そんな最中、律は自宅で幼なじみの少女と電話をしていた。
かつての婚約者であった小日向杏だ。
今では良好な友情を保っている。
そしてエメラルドの熱心な読者でもあった。
だからこうして時折電話で、近況報告のついでに感想を聞かせてくれる。
律同様、本好きで目の肥えた読者である彼女にも、異世界漫画は好評だった。
『本当に面白いよね。』
「うん。そうでしょ!」
『ここはお約束と思ったら、急に意表をついてくるしさ!』
「そう。吉川先生は定番の良さと意外性の割合が絶妙なんだよ!」
『ザ☆漢も良いよね。今回のコラボきっかけで全巻揃えちゃったよ』
「毎度ありがとうございます!」
杏の感想は、嬉しいものばかりだった。
いろいろ参考にしたいので、悪い意見でも聞かせてほしいと頼んでいる。
だけど杏はエメラルドを楽しんでくれているらしい。
とにかくいろいろ褒めてくれるのだ。
それでいて上っ面だけではなく、しっかりした意見もくれる。
月刊エメラルドとしては、お得意様と言えるだろう。
いや「ザ☆漢」までお買い上げいただいたなら、丸川書店のお得意様だ。
『そういえばコンビニで、お菓子のパッケージになってたよ』
「ああ、チョコレートだよね?」
『あと、お弁当!』
「そうだね。他の会社と連携企画もたくさんあるみたい。俺は担当じゃないけど」
律はカラカラと笑った。
2作品のコラボに、いろいろな企業も乗っかっている。
人気作品とはそういうものだ。
律は嬉しいけれど、ちょっとだけ寂しくなる。
意見を乞われて、いろいろ言った。
でも結局担当ではなく、部外者なのだ。
自分が担当だったら、もっと楽しかっただろうなと思う。
『それじゃ律っちゃん。またね』
「うん。また感想聞かせてね。」
律は通話を終えると、すぐにスマホで検索を始める。
2つの作品の名前を打ち込んで。
担当ではないけれど、熱烈な1ファンである。
作品に関する情報のチェックは、怠らないのだ。
スマホの向こうから、幼なじみの涼やかな声が聞こえる。
律は「ホント?」と聞き返し「嬉しい」と笑った。
吉川千春の異世界漫画プロジェクトは新たな展開に突入した。
ジャプンの超人気漫画「ゲテモノ料理人・ザ☆漢」とのコラボが実現したのだ。
双方の作品にキャラが乱入し、愉快な化学反応を起こしている。
そして両作品の読者は大いに盛り上がっていた。
そんな最中、律は自宅で幼なじみの少女と電話をしていた。
かつての婚約者であった小日向杏だ。
今では良好な友情を保っている。
そしてエメラルドの熱心な読者でもあった。
だからこうして時折電話で、近況報告のついでに感想を聞かせてくれる。
律同様、本好きで目の肥えた読者である彼女にも、異世界漫画は好評だった。
『本当に面白いよね。』
「うん。そうでしょ!」
『ここはお約束と思ったら、急に意表をついてくるしさ!』
「そう。吉川先生は定番の良さと意外性の割合が絶妙なんだよ!」
『ザ☆漢も良いよね。今回のコラボきっかけで全巻揃えちゃったよ』
「毎度ありがとうございます!」
杏の感想は、嬉しいものばかりだった。
いろいろ参考にしたいので、悪い意見でも聞かせてほしいと頼んでいる。
だけど杏はエメラルドを楽しんでくれているらしい。
とにかくいろいろ褒めてくれるのだ。
それでいて上っ面だけではなく、しっかりした意見もくれる。
月刊エメラルドとしては、お得意様と言えるだろう。
いや「ザ☆漢」までお買い上げいただいたなら、丸川書店のお得意様だ。
『そういえばコンビニで、お菓子のパッケージになってたよ』
「ああ、チョコレートだよね?」
『あと、お弁当!』
「そうだね。他の会社と連携企画もたくさんあるみたい。俺は担当じゃないけど」
律はカラカラと笑った。
2作品のコラボに、いろいろな企業も乗っかっている。
人気作品とはそういうものだ。
律は嬉しいけれど、ちょっとだけ寂しくなる。
意見を乞われて、いろいろ言った。
でも結局担当ではなく、部外者なのだ。
自分が担当だったら、もっと楽しかっただろうなと思う。
『それじゃ律っちゃん。またね』
「うん。また感想聞かせてね。」
律は通話を終えると、すぐにスマホで検索を始める。
2つの作品の名前を打ち込んで。
担当ではないけれど、熱烈な1ファンである。
作品に関する情報のチェックは、怠らないのだ。
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