千秋と律の異世界物語8

「どうして、こうなった?」
高野はキャラキャラと盛り上がる青年2人を遠い目で見る。
羽鳥は肩を落とし「こちらが聞きたいですよ」と呻いた。

吉川千春の異世界漫画は大ヒットしていた。
そしてアニメも大好評である。
丸川書店内で、元々高かった吉川千春の評価は上がった。
そして何気にアシストを繰り返した小野寺律も、地味に評価されていた。

そんな2人が飲み会をすることになった。
発端は吉野が羽鳥におねだりしたことだ。
異世界モノに手を出すにあたり、最初は少々不安もあった。
だけど後押ししてくれたのは、律だった。
その後も時折、アドバイス的な意見ももらった。
その結果作品がヒットしたのだから、お礼がしたい。

羽鳥が仲介役として律に打診したら、2つ返事で了承と返された。
吉野といろいろ話したけれど、まだまだ足りない。
もう少し異世界談議を楽しみたい。
アルコールを交えれば、話が弾む気はするし。

では吉野宅での部屋飲みにと提案したのは、羽鳥だった。
普通の店で、酒を交えての異世界談議はヤバいと思ったのだ。
会話の内容から、吉川千春の正体がバレるかもしれない。
そして高野も賛同した。
なぜなら律はわかりやすく酒乱で絡み酒グチ派だからだ。

かくして開催された部屋飲み。
結論から言うと、そこそこ荒れた。
引率教師よろしく見守っていた羽鳥と高野がぐったりする程度には。
1/3ページ