千秋と律の異世界物語3
「お菓子の差し入れで~す!」
一番年上なのに一番愛らしい顔の青年が、ニッコリと笑う。
吉野と律は顔を見合わせた後「「聞いてください!」」と身を乗り出した。
吉野千秋と小野寺律は、丸川書店の会議室にいた。
今日も今日とて、異世界談議である。
発端は人気漫画家吉川千春こと吉野の新連載について。
吉野は異世界モノを描きたいと思い、居合わせた律に話を振った。
そこで律が予想以上のテンションで応じたのが原因だった。
当初、吉野の担当の羽鳥は難色を示した。
編集長の高野も反対こそしなかったが、賛同もない。
それなのに、いやだからこそか。
吉野と律の異世界談議は2度行われ、2度とも大いに盛り上がった。
そこで律はハタと我に返った。
担当編集でもない自分が、出しゃばり過ぎではないか。
興味がある話題だったから、ついつい前のめりになってしまった。
だけどなぜかここで、高野と羽鳥が方向転換した。
高野は「自分の仕事に影響のない範囲で、吉川先生の相談に乗れ」と言う。
そして羽鳥には「よろしく頼む」と頭を下げられてしまった。
なぜ?いったい何が?
戸惑いながらも、今日は吉野との3回目の会合(?)である。
吉野が羽鳥と打ち合わせの後、律は時間を作った。
かくして会議室で、わちゃわちゃ異世界トーク開始である。
「とりあえず魔法は入れたいですよね」
律は前回の話し合い以降、考えていたことを口にした。
異世界の醍醐味はいろいろある。
だけどやっぱりどんな形でも、魔法は欲しい。
おそらくは中世ヨーロッパ風の世界観、魔法は良いスパイスになる。
吉野の作風とも合うだろう。
「魔法!いいですね!」
吉野が笑顔で頷いたところで、ドアがノックされた。
律が「はい」と答えると、ドアが開く。
そこへ「失礼します」と顔を覗かせたのは、木佐だった。
「お菓子の差し入れで~す!」
ニッコリと笑う木佐は大きめのトレイを持っていた。
その上には、最近律と木佐がハマっているお菓子とペットボトルのお茶が3人分。
どうやら時間が空いたので、気を利かせてくれたらしい。
「「聞いてください!」」
吉野と律は顔を見合わせた後、声を揃えて身を乗り出した。
せっかく来てくれた先輩編集者の意見、仰がない手はない。
木佐は一瞬、驚いた顔になったが、すぐに「わかった」と頷く。
かくして新たな頭脳が加わり、異世界談議は再会された。
一番年上なのに一番愛らしい顔の青年が、ニッコリと笑う。
吉野と律は顔を見合わせた後「「聞いてください!」」と身を乗り出した。
吉野千秋と小野寺律は、丸川書店の会議室にいた。
今日も今日とて、異世界談議である。
発端は人気漫画家吉川千春こと吉野の新連載について。
吉野は異世界モノを描きたいと思い、居合わせた律に話を振った。
そこで律が予想以上のテンションで応じたのが原因だった。
当初、吉野の担当の羽鳥は難色を示した。
編集長の高野も反対こそしなかったが、賛同もない。
それなのに、いやだからこそか。
吉野と律の異世界談議は2度行われ、2度とも大いに盛り上がった。
そこで律はハタと我に返った。
担当編集でもない自分が、出しゃばり過ぎではないか。
興味がある話題だったから、ついつい前のめりになってしまった。
だけどなぜかここで、高野と羽鳥が方向転換した。
高野は「自分の仕事に影響のない範囲で、吉川先生の相談に乗れ」と言う。
そして羽鳥には「よろしく頼む」と頭を下げられてしまった。
なぜ?いったい何が?
戸惑いながらも、今日は吉野との3回目の会合(?)である。
吉野が羽鳥と打ち合わせの後、律は時間を作った。
かくして会議室で、わちゃわちゃ異世界トーク開始である。
「とりあえず魔法は入れたいですよね」
律は前回の話し合い以降、考えていたことを口にした。
異世界の醍醐味はいろいろある。
だけどやっぱりどんな形でも、魔法は欲しい。
おそらくは中世ヨーロッパ風の世界観、魔法は良いスパイスになる。
吉野の作風とも合うだろう。
「魔法!いいですね!」
吉野が笑顔で頷いたところで、ドアがノックされた。
律が「はい」と答えると、ドアが開く。
そこへ「失礼します」と顔を覗かせたのは、木佐だった。
「お菓子の差し入れで~す!」
ニッコリと笑う木佐は大きめのトレイを持っていた。
その上には、最近律と木佐がハマっているお菓子とペットボトルのお茶が3人分。
どうやら時間が空いたので、気を利かせてくれたらしい。
「「聞いてください!」」
吉野と律は顔を見合わせた後、声を揃えて身を乗り出した。
せっかく来てくれた先輩編集者の意見、仰がない手はない。
木佐は一瞬、驚いた顔になったが、すぐに「わかった」と頷く。
かくして新たな頭脳が加わり、異世界談議は再会された。
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