合コン

男の子が2人来るから、乾杯はその後ね。
そう言われて、蛭魔は素っ気なく頷いた。

4対4の合コン。企画したのは幼馴染で同じ大学のまもりとその友人の千代だ。
名前も知らない2名の女子生徒が真ん中に座り、その両脇にまもりと千代が固めている。
テーブルを挟んで向かい側の両端に蛭魔と阿部が座っており、最後の2人の到着を待っている。

この合コンは、中央に座る2名の女子生徒のために企画されたものだ。、
彼女たちが時々授業で会うものの話したこともない想い人、2名の男子学生は偶然にも千代の知り合いだった。
そこで心優しくもおせっかいなまもりと千代が、出逢いのチャンスを!と張り切ったのだ。

そこまではいいが、俺は関係ない。
そう言い放った蛭魔だったが、いてくれるだけでいいからと拝み倒された。
いきなり2対2じゃ話しにくいから、私たちも参加するの。だから数合わせ。
あ、あと誰かもう1人、男の人誘ってくれないかなぁ?
そう言われて、蛭魔は同じ学部の阿部を呼び出した。
渋っていた阿部は、食事代は向こう持ちだと聞いた途端にあっさりと参加した。

遅くなってすみません!という声と共に、ようやく現れた2人組は男と言うよりは少年のようだ。
小柄で華奢な体躯、フワフワと揺れる髪、顔の真ん中で存在を主張する大きな瞳。
不思議なくらい似通った雰囲気を持った2人だった。
蛭魔の隣に座った焦げ茶色の髪と瞳の少年が、蛭魔と目が合うと花が咲くようにふわりと笑う。
可愛い。目の前に座る女子生徒のどれと比べても。

気が乗らない合コンだったが、当たりだったかもしれない。
蛭魔はセナと名乗った少年の横顔を見ながら、ニンマリと笑った。
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