FLOWER SHOP
何か、少ない。
三橋は何とも物足りない光景に首を傾げた。
アルバイト募集。
その貼り紙を見た三橋廉は、立ち止まった。
とにかく今は、何でもいいから仕事が欲しい。
職種は選んでいられない状況ではあるが、自分の希望と合致している方がいい。
してみると、この貼り紙は理想的だった。
三橋は花が大好きであり、貼り紙はフラワーショップの店先に出されている。
三橋は思わず足を止めて、店内を覗いた。
そしてすぐに違和感に気付く。
三橋は花は好きだが、実はフラワーショップで買い物をしたことはない。
だからこんなものなのだと言われれば、頷くしかない。
だけどやっぱり三橋がイメージしているものとは、違う。
その理由は、一目瞭然だった。
何か、少ない。
三橋は何とも物足りない光景に首を傾げた。
そう、違和感の原因は、圧倒的な品数の少なさだった。
普通のフラワーショップはガラスケースの中などに、溢れるほどの花を飾っている気がする。
その中から、例えば「バラを10本、カスミソウを入れて」なんてオーダーするものではないか。
だがこの店の中にあるのは、すでに出来上がった数個の花束だけだった。
しかもバラだのカーネーションなんて、メジャーな花はない。
三橋もそれなりに花には詳しいつもりだったが、知らない花ばかりだ。
これで商売は成り立つのだろうか?
ましてアルバイトが必要な状況とも思えない。
うちは事前に予約してもらって作るのがメインなんだ。
店に置いてるのは、一応売り物だけど、飾りでもあるんだ。
そうしないと花屋ってわからないだろ?
不意に店の中から声が聞こえて、三橋は飛び上がらんばかりに驚いた。
そこにいたのは、これまたフラワーショップのイメージを覆しそうな店員だった。
三橋は勝手なイメージで、何となくフラワーショップの接客はかわいい女性と思っていたのだ。
だがここの店員は、タレ目なのにあまり目付きのよくない男だ。
しかも身体も大きくて、ごつい。
バラ、とかは、置かない、ですか?
三橋は恐る恐る聞いてみた。
すると青年は「みんな、それを言うよ」と苦笑した。
季節ごとに旬な花ってのがあるんだよ。
店頭にはそういう花を置くんだ。
バラだけ特別扱いはしないんだ。
三橋は青年の言葉に、思わず微笑んでいた。
実は住む場所も仕事もないというかなり切羽詰まった状態だ。
だけどそんなことも忘れてしまうほど、この風変わりな店は面白い。
バラだけ特別扱いはしないなんて、妙にステキな言い回しだ。
で?どれか買うの?
あくまでも態度が大きな店員が、店内に並ぶ花束を指さす。
花の種類はまちまちで、全てが違った趣を醸し出している。
この青年のアレンジメントの腕前は、なかなかだ。
アルバイト、したい、です。でき、れば、住み込み、で。
三橋は思い切って、切り出した。
店員の青年が「はぁぁ?」と驚いている。
だが三橋は動じることなく「お願い、します」と頭を下げた。
三橋は何とも物足りない光景に首を傾げた。
アルバイト募集。
その貼り紙を見た三橋廉は、立ち止まった。
とにかく今は、何でもいいから仕事が欲しい。
職種は選んでいられない状況ではあるが、自分の希望と合致している方がいい。
してみると、この貼り紙は理想的だった。
三橋は花が大好きであり、貼り紙はフラワーショップの店先に出されている。
三橋は思わず足を止めて、店内を覗いた。
そしてすぐに違和感に気付く。
三橋は花は好きだが、実はフラワーショップで買い物をしたことはない。
だからこんなものなのだと言われれば、頷くしかない。
だけどやっぱり三橋がイメージしているものとは、違う。
その理由は、一目瞭然だった。
何か、少ない。
三橋は何とも物足りない光景に首を傾げた。
そう、違和感の原因は、圧倒的な品数の少なさだった。
普通のフラワーショップはガラスケースの中などに、溢れるほどの花を飾っている気がする。
その中から、例えば「バラを10本、カスミソウを入れて」なんてオーダーするものではないか。
だがこの店の中にあるのは、すでに出来上がった数個の花束だけだった。
しかもバラだのカーネーションなんて、メジャーな花はない。
三橋もそれなりに花には詳しいつもりだったが、知らない花ばかりだ。
これで商売は成り立つのだろうか?
ましてアルバイトが必要な状況とも思えない。
うちは事前に予約してもらって作るのがメインなんだ。
店に置いてるのは、一応売り物だけど、飾りでもあるんだ。
そうしないと花屋ってわからないだろ?
不意に店の中から声が聞こえて、三橋は飛び上がらんばかりに驚いた。
そこにいたのは、これまたフラワーショップのイメージを覆しそうな店員だった。
三橋は勝手なイメージで、何となくフラワーショップの接客はかわいい女性と思っていたのだ。
だがここの店員は、タレ目なのにあまり目付きのよくない男だ。
しかも身体も大きくて、ごつい。
バラ、とかは、置かない、ですか?
三橋は恐る恐る聞いてみた。
すると青年は「みんな、それを言うよ」と苦笑した。
季節ごとに旬な花ってのがあるんだよ。
店頭にはそういう花を置くんだ。
バラだけ特別扱いはしないんだ。
三橋は青年の言葉に、思わず微笑んでいた。
実は住む場所も仕事もないというかなり切羽詰まった状態だ。
だけどそんなことも忘れてしまうほど、この風変わりな店は面白い。
バラだけ特別扱いはしないなんて、妙にステキな言い回しだ。
で?どれか買うの?
あくまでも態度が大きな店員が、店内に並ぶ花束を指さす。
花の種類はまちまちで、全てが違った趣を醸し出している。
この青年のアレンジメントの腕前は、なかなかだ。
アルバイト、したい、です。でき、れば、住み込み、で。
三橋は思い切って、切り出した。
店員の青年が「はぁぁ?」と驚いている。
だが三橋は動じることなく「お願い、します」と頭を下げた。
1/20ページ