ミハシラーメン
これが、オレ、の。ラーメンです。
依頼人の青年がオドオドと、3人の前に1つずつ丼を置く。
出されたラーメンを一目見た阿部は驚いた。
阿部隆也は、友人の花井梓、田島悠一郎と共に、ラーメンのコンサルタントをしている。
元々はただのラーメン好きで、会社務めをしながら趣味の食べ歩きをしていた。
だが味の感想をブログに書いていたところ、それが実に的確だとマニアの間で話題になったのだ。
そのうちに「うちのラーメンの味をチェックしてください」なんて依頼が舞い込み始めた。
花井も田島も阿部と同じラーメン好きで、ラーメンマニアの間では有名人だ。
それが縁で名前を知り、ネットを通じて親しくなり、ついに一緒に会社を立ち上げた。
そこでコンサルタントとして、あちこちの店の依頼を受けているのだった。
今日の依頼は、新規で店を立ち上げたいという青年からのものだった。
ラーメン店で修行したわけではないし、完全に独学なので自信がない。
商売として成立するのかどうか、見て欲しいという。
そういう依頼も少なくない。
だが残念ながら、そのほとんどは素人の域を出ないものが多い。
ラーメンとは実に難しい食べ物なのだ。
スープ、麺、具材で無限の組み合わせがあるが、美味いと言えるものはなかなか出来ない。
しかもわざわざラーメン店を食べ歩く客は、実に味にうるさいのだ。
新規で開店する店は実に多いが、商売にならず閉店する店も多い。
今日阿部たちが訪れたのは、とあるマンションの一室だった。
依頼人はまだ店舗を持っておらず、自宅なのだという。
小さな座卓を囲むように3人で座り、簡単に自己紹介をした。
依頼人の青年は、三橋廉と名乗った。
これが、オレ、の。ラーメンです。
依頼人の青年がオドオドと、3人の前に1つずつ丼を置く。
出されたラーメンを一目見た阿部は「え?」と驚いた。
隣に座る阿部が「嘘だろ!」と思わず声を漏らす。
出されたラーメンは、あまりにもシンプルなものだったからだ。
ジャンルは醤油ラーメンだ。
スープの中にあるのは細めの縮れ麺、上には煮玉子と薄いチャーシュー1枚とメンマと刻みネギ。
外見はインスタントの袋麺とほとんど変わらない。
個性的なラーメンを散々見て食べてきた3人は、マジマジと丼を凝視した。
これ、食う必要あるか?
最初に明らかに不満そうな声を上げたのは花井だった。
すると依頼人は情けなさそうに眉毛を下げて「やっぱり」と呟いた。
阿部も正直言って、あまり期待できないと思った。
不味くはないだろうが、平凡すぎる。
人気の専門店と肩を並べて勝負するようなラーメンではなさそうだ。
まぁまぁせっかくだし、食おうよ。オレ腹減ってるし。
田島がそう言うと、さっさと箸を取り食べ始めた。
1口食べると「うわ、美味いな!コレ」と声を上げる。
阿部もつられるように丼を取り、スープを一口飲んだ。
そして一気に麺をすすりこむと、花井と顔を見合わせる。
ラーメンは予想外な美味だった。
スープは深みがあり、麺とよく合っている。
ゴテゴテしていないシンプルな具材は、麺とスープを絶妙に引き立てている。
この男、何者だ?
阿部は依頼人の青年、三橋を見て、ドキリとした。
嬉しそうに「よかった!」と笑う三橋が妙にかわいらしく見えたからだ。
依頼人の青年がオドオドと、3人の前に1つずつ丼を置く。
出されたラーメンを一目見た阿部は驚いた。
阿部隆也は、友人の花井梓、田島悠一郎と共に、ラーメンのコンサルタントをしている。
元々はただのラーメン好きで、会社務めをしながら趣味の食べ歩きをしていた。
だが味の感想をブログに書いていたところ、それが実に的確だとマニアの間で話題になったのだ。
そのうちに「うちのラーメンの味をチェックしてください」なんて依頼が舞い込み始めた。
花井も田島も阿部と同じラーメン好きで、ラーメンマニアの間では有名人だ。
それが縁で名前を知り、ネットを通じて親しくなり、ついに一緒に会社を立ち上げた。
そこでコンサルタントとして、あちこちの店の依頼を受けているのだった。
今日の依頼は、新規で店を立ち上げたいという青年からのものだった。
ラーメン店で修行したわけではないし、完全に独学なので自信がない。
商売として成立するのかどうか、見て欲しいという。
そういう依頼も少なくない。
だが残念ながら、そのほとんどは素人の域を出ないものが多い。
ラーメンとは実に難しい食べ物なのだ。
スープ、麺、具材で無限の組み合わせがあるが、美味いと言えるものはなかなか出来ない。
しかもわざわざラーメン店を食べ歩く客は、実に味にうるさいのだ。
新規で開店する店は実に多いが、商売にならず閉店する店も多い。
今日阿部たちが訪れたのは、とあるマンションの一室だった。
依頼人はまだ店舗を持っておらず、自宅なのだという。
小さな座卓を囲むように3人で座り、簡単に自己紹介をした。
依頼人の青年は、三橋廉と名乗った。
これが、オレ、の。ラーメンです。
依頼人の青年がオドオドと、3人の前に1つずつ丼を置く。
出されたラーメンを一目見た阿部は「え?」と驚いた。
隣に座る阿部が「嘘だろ!」と思わず声を漏らす。
出されたラーメンは、あまりにもシンプルなものだったからだ。
ジャンルは醤油ラーメンだ。
スープの中にあるのは細めの縮れ麺、上には煮玉子と薄いチャーシュー1枚とメンマと刻みネギ。
外見はインスタントの袋麺とほとんど変わらない。
個性的なラーメンを散々見て食べてきた3人は、マジマジと丼を凝視した。
これ、食う必要あるか?
最初に明らかに不満そうな声を上げたのは花井だった。
すると依頼人は情けなさそうに眉毛を下げて「やっぱり」と呟いた。
阿部も正直言って、あまり期待できないと思った。
不味くはないだろうが、平凡すぎる。
人気の専門店と肩を並べて勝負するようなラーメンではなさそうだ。
まぁまぁせっかくだし、食おうよ。オレ腹減ってるし。
田島がそう言うと、さっさと箸を取り食べ始めた。
1口食べると「うわ、美味いな!コレ」と声を上げる。
阿部もつられるように丼を取り、スープを一口飲んだ。
そして一気に麺をすすりこむと、花井と顔を見合わせる。
ラーメンは予想外な美味だった。
スープは深みがあり、麺とよく合っている。
ゴテゴテしていないシンプルな具材は、麺とスープを絶妙に引き立てている。
この男、何者だ?
阿部は依頼人の青年、三橋を見て、ドキリとした。
嬉しそうに「よかった!」と笑う三橋が妙にかわいらしく見えたからだ。
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