ウェディングプランナー
おめでとうございます~~~♪
水谷文貴は、目の前に座るカップルに満面の笑みで応対した。
すこし畏まった口調でそう言う水谷に、目の前のカップルが照れくさそうな表情になる。
挙式は3月25日でよろしいですね。
やめてよ~水谷君。友だちなんだから。普通に話してよ。
そう言って、目の前で涼やかに笑う女性-篠岡千代とその婚約者は水谷の学生時代の同級生だった。
水谷文貴は、ここ「三星ブライダル」でウエディングプランナーの仕事をしている。
いつもニコニコと明るいし、物腰も柔らかいので、客からの評価も悪くない。
女性が多い職場にあって、水谷はなかなかモテる。
この職場に勤めてからは、彼女がいない時期などほとんどないほどだ。
時に花嫁になる女性があまりにもうっとりと水谷を見るものだから、喧嘩になったカップルさえいる。
だが水谷本人は、恋にあまり執着することはなかった。
だから来る者は拒まず、去る者は追わず。
自分から告白するようなこともなく、別れる彼女を引き止めることもない。
「ゆる~く軽~く生きる」をモットーにしており、重たい恋はNG、修羅場などはもってのほかだ。
じゃあここからは友だちモードで。
水谷は少し砕けた口調で、そう言って手帳を開く。
そしてちょっとだけ眉根を寄せて、申し訳なさそうに言った。
ごめん、その日はオレ、別の結婚式をお受けしちゃってるんだよね。
ええ?そうなの?でも私たち、どうしてもこの日がいいのよ。
わかってるよ。この日は篠岡の誕生日でしょ?
えーよく憶えてるね。
楽しげな会話をカップルの片割れ、阿部隆也はつまらなそうな表情で聞いている。
ごめんね。代わりにうちのナンバーワンプランナーに担当させるよ。
水谷はそう言って、携帯電話を取り出すと「3月25日、うん、お願い」と告げる。
程なくして現れたのは、ふわふわとした茶色い髪と大きな瞳の可愛らしい青年だった。
青年は「プランナーの三橋です」とふにゃりと蕩けるような笑顔で、頭を下げた。
水谷文貴は、目の前に座るカップルに満面の笑みで応対した。
すこし畏まった口調でそう言う水谷に、目の前のカップルが照れくさそうな表情になる。
挙式は3月25日でよろしいですね。
やめてよ~水谷君。友だちなんだから。普通に話してよ。
そう言って、目の前で涼やかに笑う女性-篠岡千代とその婚約者は水谷の学生時代の同級生だった。
水谷文貴は、ここ「三星ブライダル」でウエディングプランナーの仕事をしている。
いつもニコニコと明るいし、物腰も柔らかいので、客からの評価も悪くない。
女性が多い職場にあって、水谷はなかなかモテる。
この職場に勤めてからは、彼女がいない時期などほとんどないほどだ。
時に花嫁になる女性があまりにもうっとりと水谷を見るものだから、喧嘩になったカップルさえいる。
だが水谷本人は、恋にあまり執着することはなかった。
だから来る者は拒まず、去る者は追わず。
自分から告白するようなこともなく、別れる彼女を引き止めることもない。
「ゆる~く軽~く生きる」をモットーにしており、重たい恋はNG、修羅場などはもってのほかだ。
じゃあここからは友だちモードで。
水谷は少し砕けた口調で、そう言って手帳を開く。
そしてちょっとだけ眉根を寄せて、申し訳なさそうに言った。
ごめん、その日はオレ、別の結婚式をお受けしちゃってるんだよね。
ええ?そうなの?でも私たち、どうしてもこの日がいいのよ。
わかってるよ。この日は篠岡の誕生日でしょ?
えーよく憶えてるね。
楽しげな会話をカップルの片割れ、阿部隆也はつまらなそうな表情で聞いている。
ごめんね。代わりにうちのナンバーワンプランナーに担当させるよ。
水谷はそう言って、携帯電話を取り出すと「3月25日、うん、お願い」と告げる。
程なくして現れたのは、ふわふわとした茶色い髪と大きな瞳の可愛らしい青年だった。
青年は「プランナーの三橋です」とふにゃりと蕩けるような笑顔で、頭を下げた。
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