進路

進路希望調査表。
配られた用紙を見て、三橋はため息をついた。

西浦高校の生徒は、1年生の時にまず進路を大まかに決めなくてはならなくなる。
2年生になると文系と理系にクラス分けがされるからだ。

用紙には文系、理系のどちらかにマルをつけるのが、唯一の必須事項。
その他志望する大学があれば大学名、もしくは就職希望とか、専門学校とか。
そういうものを備考の欄に任意で書き込むことになっている。
ちなみに今までの卒業生のデータを見ると、西浦高校卒業生の約7割は大学に進学する。
浪人を経て大学へ進学する生徒もいるから、実際はもっと進学率は高いだろう。

未だに中学時代の暗い過去から完全に抜け切れていないのに、もう卒業後の話なんて。
しかも提出期限は今日であり、他の野球部員たちは皆もう提出してしまっている。
三橋はなんだか置いてきぼりを食わされたような気分だった。

とにかく決めなくてはいけない。そして書かなくてはいけない。
まず大学に進むかどうか。文系か理系か。
三橋は誰もいない放課後の教室で、未だに名前しか書かれていない用紙とにらめっこしていた。
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