初めてのキャッチボールはあなたと

「ウヘヘ」
三橋は自室のベットでゴロゴロしながら、笑っていた。
手には携帯電話。
もしも誰かに見られていたら、かなり気味が悪い状況である。
だけど部屋には三橋しかいない。
それどころか両親も年始の挨拶に出かけており、広い家には三橋1人だ。

三橋は携帯電話で、新年のメッセージを確認していた。
一番最初に送ってくれたのは、中学時代の友人の叶修悟だ。

新年は群馬に帰って来る?
それなら久しぶりにキャッチボールでもやらないか?

三橋はメールを読みながら「ウヘヘ」と笑った。
無機質な文章なのに、何となく叶の笑顔が見えるような気がする。
そしてムニムニと画面をイジり、次のメッセージを出す。
田島からのメールだ。

年始は家にいるから、ヒマだったら来いよ!
キャッチボールしようぜ!

三橋はまた「ウヘヘ」と笑う。
三星にいたときに比べたら、嘘のようだ。
あの頃はキャッチボールどころか、誰も喋ってさえくれなかった。
だけど今はこうして誘ってくれる人たちがいる。

そのとき玄関のチャイムが鳴った。
三橋は勢いよくベットから降りると、階段を駆け下りた。
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