恋愛禁止
「お前チョコ、ちゃんと断ったか?」
阿部にそう問われた三橋は、ピキンと固まった。
知らない女子生徒からもらったバレンタインチョコ。
三橋はそれをもう食べてしまったのである。
西浦高校硬式野球部にある決まりができたのは、冬休みに入る少し前のこと。
恋愛禁止令である。
三橋としては、どうでもよかった。
興味がないわけではなかったけれど、正直野球への熱の方が勝っている。
つまりナチュラルに恋愛は二の次なのだ。
そんなこんなで迎えたバレンタインデー。
知らない女子生徒からチョコレートをもらった。
これあげる。
夏、感動したからお礼。
そんな言葉と共に差し出されたチョコを、三橋は戸惑いながら受け取った。
バレンタインデーは好きな人にチョコレートをあげる日。
さすがに三橋もそれは知っていた。
だけど今までもらったのは母とか祖母とか従姉妹からばかり。
つまり自分に差し出されるチョコレートに恋愛要素があるとは思っていなかった。
だから深く考えることなく食べてしまったのだ。
「食ったあとのハナシ。だってアレってスキとかそーゆんじゃねーの?」
阿部に言われて、三橋は答えに詰まった。
すかさず田島が「アイドルにチョコあげるカンジ」とフォローしてくれる。
そして阿部が納得した様子なのを見て、ホッと胸を撫で下ろした。
恋愛禁止の意味を、三橋はまだよくわからない。
ただ何となく思うことはある。
水谷が何だか悶々としているみたいだとか、篠岡が寂しそうとか。
そして阿部に誰も近づけなくなったことにちょっとだけホッとしている。
だが三橋はそれ以上考えないことにした。
だって泉が言っていたからだ。
恋は落ちるもの。どっかに穴があいてて、イキナリストンッと落っこちる。
そして落ちたら自力じゃ抜け出せないと。
自力で抜け出せない穴に落ちたら、きっと野球どころではなくなる。
それなら穴がありそうな場所には近づかないことだ。
三橋はそう思って、危険な感じたら思考を止めた。
他の部員はそんな三橋を恋愛に関してはとことん鈍いと評するようになる。
だけど三橋は阿部が受けてくれて野球ができれば、それでよかった。
阿部にそう問われた三橋は、ピキンと固まった。
知らない女子生徒からもらったバレンタインチョコ。
三橋はそれをもう食べてしまったのである。
西浦高校硬式野球部にある決まりができたのは、冬休みに入る少し前のこと。
恋愛禁止令である。
三橋としては、どうでもよかった。
興味がないわけではなかったけれど、正直野球への熱の方が勝っている。
つまりナチュラルに恋愛は二の次なのだ。
そんなこんなで迎えたバレンタインデー。
知らない女子生徒からチョコレートをもらった。
これあげる。
夏、感動したからお礼。
そんな言葉と共に差し出されたチョコを、三橋は戸惑いながら受け取った。
バレンタインデーは好きな人にチョコレートをあげる日。
さすがに三橋もそれは知っていた。
だけど今までもらったのは母とか祖母とか従姉妹からばかり。
つまり自分に差し出されるチョコレートに恋愛要素があるとは思っていなかった。
だから深く考えることなく食べてしまったのだ。
「食ったあとのハナシ。だってアレってスキとかそーゆんじゃねーの?」
阿部に言われて、三橋は答えに詰まった。
すかさず田島が「アイドルにチョコあげるカンジ」とフォローしてくれる。
そして阿部が納得した様子なのを見て、ホッと胸を撫で下ろした。
恋愛禁止の意味を、三橋はまだよくわからない。
ただ何となく思うことはある。
水谷が何だか悶々としているみたいだとか、篠岡が寂しそうとか。
そして阿部に誰も近づけなくなったことにちょっとだけホッとしている。
だが三橋はそれ以上考えないことにした。
だって泉が言っていたからだ。
恋は落ちるもの。どっかに穴があいてて、イキナリストンッと落っこちる。
そして落ちたら自力じゃ抜け出せないと。
自力で抜け出せない穴に落ちたら、きっと野球どころではなくなる。
それなら穴がありそうな場所には近づかないことだ。
三橋はそう思って、危険な感じたら思考を止めた。
他の部員はそんな三橋を恋愛に関してはとことん鈍いと評するようになる。
だけど三橋は阿部が受けてくれて野球ができれば、それでよかった。
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