夢の途中

大きな声で「三橋!」と呼ばれて、身体を揺すぶられて、目を開けた。
同じベットで寄り添うように横たわる阿部が、心配そうな表情で三橋の顔を覗き込んでいる。
ああ、夢か。
覚醒した三橋は、自分が肩で浅い呼吸を繰り返していることがわかった。
全身冷たい汗をかいていて、冬でもないのにひどく寒い。
何度も見るこの悪夢は、いつも息苦しさと寒さを伴い、決して慣れることはない。

悪い夢でも見たか?
阿部が手を伸ばし、三橋の身体を引き寄せて、優しく髪を撫でてくれる。
また、中学のときの、夢、見た。起こし、ちゃって。ごめんね。
三橋は甘えるように、阿部の胸に顔を寄せながらそう答えた。

大丈夫。汗、流してくる。
三橋はゆっくりとベットから起き上がると、寝室を出て行った。
阿部は少し傷ついたような表情で、じっと三橋が出て行ったドアを見ていた。
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