スーパーボウル 10th season

** この作品は2018年のスーパーボウルの試合内容に準じております。**


「え?ブーイング?」
セナは困惑しながら、スタジアムを見回した。
だがヒル魔は「まぁ判官びいきってやつだな」と答えた。

今年のカードは、AFC覇者ニューイングランド・ペイトリオッツ VS NFC覇者フィラデルフィア・イーグルス。
ペイトリオッツに関しては「また?」と言いたくなるほどで、もはやスーパーボウルの常連だ。
クォーターバックのトム・ブレイディは40歳。
すでに5回もスーパーボウル制覇を果たしている。

対するイーグルスは、シーズン途中で司令塔であるクォーターバックがケガをするなど、試練も多い。
そんな逆境に対する応援なのか、ヒル魔がいうところの判官びいきなのか。
スタジアムの雰囲気は、どうもイーグルス寄りである。
しかも選手が入場してくる時には、ペイトリオッツに向けてブーイングが起こったほどだ。

今回もヒル魔とセナは、スタジアムで観戦していた。
アメフトのプロ選手として活躍し始めた2人だったが、スーパーボウルはまだ遠い。
ヒル魔がAFCの某チームと契約したが、試合出場のチャンスはなかった。
正クォーターバックではなく、控えであったからだ。
セナもまたNFCのチームからオファーはありトライアウトに招集されたが、本契約には至らなかった。

かくしてまたしてもスーパーボウルは、観戦だ。
着実に近づいてはいるけれど、最後の数歩がどうにも遠い。
ヒル魔もセナも、そのことを痛感していた。
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