スーパーボウル 9th season
** この作品は2017年のスーパーボウルの試合内容に準じております。**
「あ~!行きたかったなぁ~」
セナは少々恨めしさを込めた声で、そう言った。
だがヒル魔は涼しい顔で「念のためだ」と答えた。
今年のカードは、AFC覇者ニューイングランド・ペイトリオッツ VS NFC覇者アトランタ・ファルコンズ。
事前のデートとしては、対照的なチームだ。
もはやNFLの常連というイメージのペイトリオッツと、18年振り出場のファルコンズ。
今年のレギュラーシーズンで、リーグ最多得点のファルコンズと、NFL最小失点のペイトリオッツ。
つまり王者対チャレンジャー、そしてナンバーワンオフェンス対ナンバーワンディフェンスのマッチアップだ。
セナの中のイメージでは、高校1年の時の泥門デビルバッツと王城ホワイトナイツが近いと思う。
あのときの事前の下馬評では王城有利、この試合もペイトリオッツ有利だ。
デビルバッツはそれを覆して勝利をおさめたが、この試合はどうか?
学生の頃なら、セナはファルコンズに肩入れして見ただろう。
だが今はヒル魔もセナも日本ではトップクラスのプレイヤーになっている。
いつかあの場所でプレイすることを目標とする2人は、もうどちらかを応援するような観戦はしない。
チャンスがあればいつでもNFLに参戦する気満々であり、冷静に双方のプレイを分析することにしている。
ちなみに今年の2人は今年、スタジアムに行っておらず、ヒル魔のマンションでテレビ観戦だ。
理由は、アメリカの新大統領誕生にある。
ここ最近のアメリカは、ニュースを見ていても何だか物々しい。
政治家ではなく実業家出身の新大統領は、過激な公約を掲げて選挙に勝った。
特定の国を指定して入国を制限したり、それに反対するデモが起こったりしている。
ヒル魔は直前まで、今回の開催地、ヒューストンに行くかどうか迷っていたようだ。
だが結局行かない決断をした。
もちろんテロなどは警戒しているだろうし、巻き込まれる可能性は高くない。
それでも昨年までよりは、危険度は上がっている。
テレビでは事前情報で、盛り上がるヒューストンの街の様子を放送している。
それを見たセナはやはり行きたかったと思う。
だけどヒル魔の判断はきっと間違っていない。
何かあってから後悔しても遅いわけで、プレイヤーとしてはフィールド以外でケガなどしたくない。
「もしもヒル魔さん1人だったら、行ってました?」
セナはあえてそう聞いてみた。
もしもセナという恋人がいなかったら、この程度の危険など気にしていなかったのではないかと思ったのだ。
むしろ高笑いしながら、スタジアムに乗り込んだのではないかと。
ヒル魔は「さぁな」とはぐらかした。
だがセナはきっと当たっていると思う。
アメフトなんてハードな世界にセナを放り込んだくせに、ヒル魔は意外と過保護なのだ。
「あ~!行きたかったなぁ~」
セナは少々恨めしさを込めた声で、そう言った。
だがヒル魔は涼しい顔で「念のためだ」と答えた。
今年のカードは、AFC覇者ニューイングランド・ペイトリオッツ VS NFC覇者アトランタ・ファルコンズ。
事前のデートとしては、対照的なチームだ。
もはやNFLの常連というイメージのペイトリオッツと、18年振り出場のファルコンズ。
今年のレギュラーシーズンで、リーグ最多得点のファルコンズと、NFL最小失点のペイトリオッツ。
つまり王者対チャレンジャー、そしてナンバーワンオフェンス対ナンバーワンディフェンスのマッチアップだ。
セナの中のイメージでは、高校1年の時の泥門デビルバッツと王城ホワイトナイツが近いと思う。
あのときの事前の下馬評では王城有利、この試合もペイトリオッツ有利だ。
デビルバッツはそれを覆して勝利をおさめたが、この試合はどうか?
学生の頃なら、セナはファルコンズに肩入れして見ただろう。
だが今はヒル魔もセナも日本ではトップクラスのプレイヤーになっている。
いつかあの場所でプレイすることを目標とする2人は、もうどちらかを応援するような観戦はしない。
チャンスがあればいつでもNFLに参戦する気満々であり、冷静に双方のプレイを分析することにしている。
ちなみに今年の2人は今年、スタジアムに行っておらず、ヒル魔のマンションでテレビ観戦だ。
理由は、アメリカの新大統領誕生にある。
ここ最近のアメリカは、ニュースを見ていても何だか物々しい。
政治家ではなく実業家出身の新大統領は、過激な公約を掲げて選挙に勝った。
特定の国を指定して入国を制限したり、それに反対するデモが起こったりしている。
ヒル魔は直前まで、今回の開催地、ヒューストンに行くかどうか迷っていたようだ。
だが結局行かない決断をした。
もちろんテロなどは警戒しているだろうし、巻き込まれる可能性は高くない。
それでも昨年までよりは、危険度は上がっている。
テレビでは事前情報で、盛り上がるヒューストンの街の様子を放送している。
それを見たセナはやはり行きたかったと思う。
だけどヒル魔の判断はきっと間違っていない。
何かあってから後悔しても遅いわけで、プレイヤーとしてはフィールド以外でケガなどしたくない。
「もしもヒル魔さん1人だったら、行ってました?」
セナはあえてそう聞いてみた。
もしもセナという恋人がいなかったら、この程度の危険など気にしていなかったのではないかと思ったのだ。
むしろ高笑いしながら、スタジアムに乗り込んだのではないかと。
ヒル魔は「さぁな」とはぐらかした。
だがセナはきっと当たっていると思う。
アメフトなんてハードな世界にセナを放り込んだくせに、ヒル魔は意外と過保護なのだ。