スーパーボウル 7th season

** この作品は2015年のスーパーボウルの試合内容に準じております。**

「ペイトリオッツって10年勝ってないんだ。。。」
セナは手帳を開いて、両チームのデータを確認する。
そして今さら気づいた事実に、少なからず驚いてしまった。

今年のスーパーボウルも、ヒル魔とセナはスタジアムで観戦だ。
まったくどうして毎年、チケットが取れるのか。
しかも今回も恐ろしいほど、いい席だ。
午前中、オークションサイトでエンドゾーン裏の観戦には不向きな席が1万ドルの値がついていた。
それほど人気であり、取りにくいのがスーパーボウルのチケットなのだ。

今年のカードは、AFC覇者ニューイングランド・ペイトリオッツ VS NFC覇者シアトル・シーホークス。
シーホークスは昨年の覇者で、2年連続のスーパーボウル制覇を目指す。
対するペイトリオッツは、勝てば10年振りの優勝となる。
セナが「10年勝ってない」と言ったのは、驚きからだ。
実力もあり、何度もスーパーボウルに駒を進めており、10年以上前に3回も優勝している。
だからここ10年、勝ちがないのが信じられないのだ。

両チームを比較するときには、やはりまずクォーターバックが思い浮かぶ。
ペイトリオッツは正確なパスが持ち味のベテラン、トム・ブレイディ。
シーホークスは去年も活躍したラッセル・ウィルソンだ。
ウィルソンはブレイディほどの正確さはないが、クォーターバックでありながらよく走る。
最適なパスターゲットを走りながら捜すこともあるし、自分で持ち込むこともある。
いわゆるモバイル・クォーターバックというやつだ。

どちらが勝っても、伝説の一戦になる。
現地メディアはそんな風に騒いでいた。
多彩なパスのペイトリオッツと、鉄壁の守りを誇るシーホークス。
攻撃対守備、また空中戦対地上戦だ。

だが今回、スーパーボウル直前にショッキングなニュースが流れた。
カンファレンス・チャンピオンシップ決勝、つまりスーパーボウル出場を決める試合での不正。
ペイトリオッツは自分の攻撃の時だけ、空気圧が少ないボールでプレイしていたというのだ。
これはスーパーボウルが開催される今日現在、まだ調査中ということになっている。

「そんなの、ありなんですか!?」
セナは大いに憤慨し、調査中のままスーパーボウルが行なわれることが不思議だった。
アメリカってそんな感じでOKなのか?
だがこうしてスタジアムに来てみると、やはりアメリカのファンも納得していないのだとわかる。
やはりシーホークスへの声援の方が多く、ペイトリオッツは悪役っぽい感じの扱いだ。

「いよいよ始まりますね。」
セナは期待に胸を膨らませながら、試合開始を待つ。
ヒル魔も「そうだな」と頷き、フィールドを見つめていた。
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