スーパーボウル 6th season

** この作品は2014年のスーパーボウルの試合内容に準じております。**


「スタジアムで凍死する人とか、出ないんですかね。。。」
ニューヨークのホテルの最上階のスィートルームで、窓から街を見下ろしていたセナはポツリと呟いた。

この冬、アメリカには例年にない寒波が押し寄せている。
ナイヤガラの滝が凍り、刑務所を脱獄した囚人があまりの寒さに刑務所に逃げ戻る事件さえあった。
それなのにスーパーボウルは、寒冷地での開催だ。
しかもよりによって今年が、史上初の屋根のないスタジアムでの試合となる。

「事前にカイロを買い占めておけば、一儲けできたな」
ヒル魔は何とも不穏なことを言う。
現地ニューヨークでは、使い捨てのカイロが品薄になっている。
そして路上では、定価の何倍もの値段で売買されているようだ。
こんなに寒いのに、警備とか安全の問題から大きな防寒具を持ち込めないせいだ。

そんな今年のスーパーボウルを見るために、ヒル魔とセナはニューヨークにいた。
ヒル魔は当然のように、プラチナチケットを2枚ゲットし、高級ホテルの部屋も確保している。
しかも使い捨てカイロもちゃんと手に入れていた。
セナは何もすることがなく、接待されるお客様状態だ。
相変わらずヒル魔の人脈と行動力だが、もう今さら驚きなど感じない。

そして今年のカードは、AFC覇者デンバー・ブロンコス VS NFC覇者シアトル・シーホークス。
ブロンコスは獲得ヤードと得点が1位、シーホークスは喪失ヤードと失点が1位。
つまり攻撃力トップと守備力トップの対決となる。
どちらもカンファレンス最高勝率をひっさげて、スーパーボウルまで勝ち上がってきた。

そしてチームの要であるクォーターバックも対照的だ。
ブロンコスはNFL史上最強QBと呼ばれ、首の手術から奇跡的に復活したベテランのペイトン・マニング。
シーホークスは2年目の若手ラッセル・ウィルソンだ。

ちなみに試合を行うのは、ニューヨーク・ジャイアンツのスタジアム。
ニューヨーク・ジャイアンツには、ペイトン・マニングの弟、イーライ・マニングが所属している。
どういうわけかスーパーボウル開催スタジアムを本拠地とするチームが、その年のスーパーボウルに出場したことはない。
このスーパーボウルのジンクスは、今年も破られなかった。
だが事前のニュースでは、弟のチームのスタジアムで兄が頂上決戦だと大きく取り上げていた。

そして決戦の夜、2人はスタジアムに向かう。
セナもこの正反対のチームの対戦は楽しみだ。
だがクォーターバックのヒル魔は、セナ以上に楽しみにしていることだろう。
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