がぶりえるとなかまたち

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目次

  • 両親が来る日

    東京に住む両親と離れてパリに暮らすイヴ=ガブリエル和泉。12歳になったばかりです。今日は両親がパリを訪れる約束の日。甘えたいけど、もう甘えられる歳じゃない……そんなセンチメンタルな気持ちになってしまったみたいです。

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  • センちゃん、あのね

    数学教師十二年目、もうすぐ父親になる。今年は新入生の担任を仰せつかり、教師としての使命感にも燃えているーー幸せなはずなのに、僕には何かが足りない。男なのにマタニティブルー。
    幸せな気分と不安とが入り混じった新年度。新入生の中に、僕は旧知の友の面影を見た。


    登場人物の名前について
    センちゃん→ゲームアプリ内では「テオちゃん」だの「フョードル」だの呼ばれているが、本名が千理(せんり)なので、作中の主人公・根本にはセンちゃんと呼ばれている。
    笠井岳(かさいがく)→ゲームアプリ内で「ラクス」という名前で呼ばれているが、本名はこれである。
    ジャン=ミシェル伊織→ゲームアプリ内でミカエルと呼ばれているが、これが本名である。「センちゃん」の長男。

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  • 睦月某日の憂鬱

    安積睦希、中学受験を間近に控える小学六年生。
    本命の受験を間近に控えた一月の某日、折悪くも恐れていた初潮がついに訪れ、性自認の悩みが増幅して彼女(あるいは彼)を煩悶に陥れる。その憂鬱を払ったのは、美しい人ならざる者だった。

    ※安積睦希……睦月ちゃんという名前でアプリに登場させているボーイッシュな女の子です(微妙に字が違う)。自分の性別を受け入れるのに難儀しています。
    彼女(もしかしたら彼と呼んだ方がいいのかもしれません)は、主人公で「両親が来る日」に出てくるイヴ=ガブリエル和泉(ガブリエル)の従妹になります。
    「センちゃん、あのね」に出てきた千理(アプリだとテオちゃん)の姪です。父の知匡は千理の実弟。
    途中で登場する天使「イェグディエル」は、アプリにすでに登場した「ボリスラフ姐さん」の天使としての名前です。

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  • ほんの一厘のスキ

    イヴァンと名付けられた少年は、訳ありの出生のために生母のもとを離れ、血縁上の父親に養子縁組された。あらたな名前「ジャン=ミシェル伊織」にはまだ馴染めないでいる。母の双子の姉を「伯母さん」ではなくて「母さん」と呼ぶことはできるようになったけど、まだ父親を父親と認めていない。
    そんな彼にはイヴ=ガブリエル和泉という可愛い弟がいる。その弟のことはかわいいとは思うのだが、実の両親に愛されてのびのびと育つその無邪気さにイラッと来ることもある。
    この小話は、「安積ジャン=ミシェル伊織」が五歳にして自分の複雑な運命を受け入れるために葛藤した日々の一場面である。

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  • ラーゲリに生まれて

    ゲオルギー・キリロヴィチ・メルツァロフ。
    大戦終結まもなくソ連の囚人収容所(ラーゲリ)で生まれた稀有な運命を持つ数学者。父を知らず、母は自分を出産した時に亡くし、歳の離れた兄ニコライによって育てられたこの老人は、久々に故郷のバハロハスクの土を踏んだ。それは、もうじき命が尽きると言われる兄との最期の時間を共にするためだった。彼は真っ直ぐに養老院に行き、横たわって話すことも難しくなってきた兄のすぐそばに腰掛けた。
    ゲオルギーは大切な兄のいるロシアを離れて九十年代に日本へ飛び立った。頻繁に帰ってこなかったのには理由がある。
    死の迫った兄に安らぎをもたらすため、口下手な男はすでに長くなった自分の日本生活を語り始めた。

    ※アプリ未登場のおじいさんが主人公ですので、読み進めにくいかもしれません。が、読んでいくと知っているキャラが次々に出てくるという構成になっているはずです※

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  • 私がオノレでも、オノリーヌでも。

    オノリーヌ・ドーヴェルニュ=リーバーマン。三十代に入った女医である。名門の末娘として生まれた。きょうだいは姉妹ばかりで、両親は本当は男児が欲しかったのを知っている。
    オノレ。それはオノリーヌの男性形である。彼女はもし自分が男だったらどうだったろう、と思うことが昔から少なくない。
    幸せなお嬢さんとして育つだけの環境はあったけれど、そういう気質ではなかった。
    そんな彼女も結婚だけはしている。でもそれは、男性同性愛者の幼馴染・エルネストとの奇妙な友情結婚。
    パリを流れるセーヌ川の中州サン=ルイ島にある夫婦の家に、今日は可愛いオノリーヌの甥っ子・イヴ=ガブリエル和泉が遊びに来た。

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  • 何より尊崇するあなたへ

    ビョルン・ハーラル王太子殿下。現ノルウェー国王エイリク四世とその妃マリア・テレーゼの第一王子。
    ノルウェー王家は長子相続。三〇年前に女性も王位継承可能であるように憲法が修正された。だが王位継承権一位になる国王の長子は息子だったから、国民は次期国王に女王を戴くことにはならなかった。
    ビョルン王太子は学業優秀、眉目秀麗な「完璧王子」として名高い。彼の王妃になりたいと願っている女性は世界中にいる。だけど、彼には心にな決めた人がいた。でもそれはどう考えても前途多難な恋なのである。

    ※フィクションです。実在する王家をモデルにしていますが、この作品に出てくる人物は実在されている王家成員とは何ら関係ありません。


    ※マリア・テレーゼ王妃はフランス生まれ。フランス貴族のオーヴェルニュ家からノルウェー王太子(当時)に嫁ぐ。出生名はマリー=テレーズ・ドーヴェルニュ。その兄は現オーヴェルニュ伯家当主のピエール・ドーヴェルニュ(イヴ=ガブリエルの祖父)である。

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