レーテーの雫ー前編ー
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古くなったピラミッドに、罠を仕掛けまくった逸物。入団テスト、というには随分と荒っぽかった。
ところどころに松明の明かりこそあるが、埃っぽく薄暗い。何とか罠をくぐり抜け、ピラミッドの中心部へたどり着いた。額に浮いた汗を拭って、子供用だろうか、装飾を施された小さな棺桶の上に座る。
休むともなしに待っていると、他の受験者らしい柄の悪い輩が数人、ポツリポツリと現れた。どうやらここがゴールで間違いは無いらしい。
顔に大傷のある大男と小男の組み合わせ、刺青まみれの黒人、性格のキツそうな女。
『ほぉ、今回の受験者はなかなか優秀ですね。6人ですか。』
ピラミッド最深部の壁が音を立てて開くと、仕掛け人らしいキツネのような男が出てきた。
6人?頭数を数え直す。いや、5人の間違いだろう。
不意に、腰掛けていた棺桶がドンドンと振動する。
『ここだよう、退いてぇ。』
腰を浮かすと、子供用の棺桶じゃないかと思われるそこには、小柄な、男とも女ともつかない、まだ子供と言って差し支えないように人間が収まっていた。ハンチング帽のような帽子を深々と被っているので、顔がよく見えない。体には、一回り大きなつなぎを着ている。
「ああ、狭かった。」
人間が入っていたことにも驚いたが、それよりも驚いたのは、このガキが、自分よりもはやくこの部屋にたどり着いていたに違いないということだった。
「驚いたねぇ、先客がいたとは。随分静かだったじゃないのさ。」
キツめの女が揶揄うように声を掛けると、そのガキはふわ、と欠伸をして答えた。
「お昼寝してたんだ、早く来すぎちゃって。」
***