レーテーの雫ー中編ー
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「お前に貸しを作る羽目になるたぁな。」
「遅いじゃない、ヘナチョコ。」
「るせぇ。」
既に現場に立っていた不二子に合流する。次元は、かもめが囚われている場所を確認するが早いか、不二子のバイクに跨った。
「借りるぞ。」
「ちょっと、どうするつもり? 単身で入るのは自殺行為よ。」
「悪いが作戦なんてもんを流暢に待ってられねぇんでな。帰りだけ迎えに来てくれ。」
「おい次元、冷静になれ。」
次元は吸いかけのタバコを吐いて捨てる。苛立ちが空気をチリチリとピリつかせる。
「冷静になんかやってられっか。じゃあな。」
いつになく低い声で唸ったあと、次元はバイクで扉を蹴破った。
後ろ姿を呆然と見送る。冷静さを欠いた相棒を止められなかった。
不二子が監視カメラの映像をジャックしている端末を慌てて覗き込むと、分割された画面には、オートバイに跨りながら的確に敵をなぎ倒していく相棒の姿があった。
「…化け物だ。」
一瞬の隙もなく、的確に鉛の弾を撃ち込んでいく。その姿は、殺人マシーンと言っても過言でない。一匹の虎狼。
元々軍隊に身を置いていた経験もある。腕っ節は強い。だが、ここまで我を失って殺しに走る奴を見るのは、久しぶりだった。
命の重さを知らないわけじゃない、呪われた仕事だと知っている。その気になれば急所を仕留められるシチュエーションでも、あえて外して相手の武器を弾くのがアイツだ。だが今回は違う。
「助けに行かなくていいの?」
「んなことしたら俺たちまで殺されちまうよ。全員遣るまで止まらねぇぞ、あいつ。」
「おっかない。」
「言われた通り、俺たちに出来るのは帰りを待つことくらいだな。」
そうでなくとも、男の戦いに手出しは無用だ。俺に出来るのは慎重な相棒のケツを蹴り上げることと、傷ついて帰ってきた時の足をすることくらいだ。いつもアイツがそうするように。
思い当たって、電話を掛ける。
「よぉ、元気かオッサン。」
『何の用かね。』
「急患2名、よろしくさん。」
『また面倒を引き起こしたのかい?』
「これから起こるんだよ、それじゃな。」
電話を切ると、不二子が胸にもたれてきた。
「かもめ、思い出すかしら。」
「不二子ちゃんが人の心配なんてめっずらしい。」
「あんたたちみたいな暴漢とは違うもの。」
「酷い言い草。」
「私みたいな周到さも、あの子には無いし。」
「それは言えてる。…だけど、一回会ったら忘れねぇだろ。あんなヒゲの濃い帽子の煙草男によ。」
「えぇ…それもそうね。きっとそうだわ。ねぇ、ルパン。」
「なんだ? 不二子。」
「私もあなたを忘れたら、思い出させてね。」
「任せとけ、忘れさせるかってんだ、このルパン三世様を。思い出させてやるよ、嫌ってほどにな。」
二人で肩を寄せて、仲間の帰りを待った。
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「お前に貸しを作る羽目になるたぁな。」
「遅いじゃない、ヘナチョコ。」
「るせぇ。」
既に現場に立っていた不二子に合流する。次元は、かもめが囚われている場所を確認するが早いか、不二子のバイクに跨った。
「借りるぞ。」
「ちょっと、どうするつもり? 単身で入るのは自殺行為よ。」
「悪いが作戦なんてもんを流暢に待ってられねぇんでな。帰りだけ迎えに来てくれ。」
「おい次元、冷静になれ。」
次元は吸いかけのタバコを吐いて捨てる。苛立ちが空気をチリチリとピリつかせる。
「冷静になんかやってられっか。じゃあな。」
いつになく低い声で唸ったあと、次元はバイクで扉を蹴破った。
後ろ姿を呆然と見送る。冷静さを欠いた相棒を止められなかった。
不二子が監視カメラの映像をジャックしている端末を慌てて覗き込むと、分割された画面には、オートバイに跨りながら的確に敵をなぎ倒していく相棒の姿があった。
「…化け物だ。」
一瞬の隙もなく、的確に鉛の弾を撃ち込んでいく。その姿は、殺人マシーンと言っても過言でない。一匹の虎狼。
元々軍隊に身を置いていた経験もある。腕っ節は強い。だが、ここまで我を失って殺しに走る奴を見るのは、久しぶりだった。
命の重さを知らないわけじゃない、呪われた仕事だと知っている。その気になれば急所を仕留められるシチュエーションでも、あえて外して相手の武器を弾くのがアイツだ。だが今回は違う。
「助けに行かなくていいの?」
「んなことしたら俺たちまで殺されちまうよ。全員遣るまで止まらねぇぞ、あいつ。」
「おっかない。」
「言われた通り、俺たちに出来るのは帰りを待つことくらいだな。」
そうでなくとも、男の戦いに手出しは無用だ。俺に出来るのは慎重な相棒のケツを蹴り上げることと、傷ついて帰ってきた時の足をすることくらいだ。いつもアイツがそうするように。
思い当たって、電話を掛ける。
「よぉ、元気かオッサン。」
『何の用かね。』
「急患2名、よろしくさん。」
『また面倒を引き起こしたのかい?』
「これから起こるんだよ、それじゃな。」
電話を切ると、不二子が胸にもたれてきた。
「かもめ、思い出すかしら。」
「不二子ちゃんが人の心配なんてめっずらしい。」
「あんたたちみたいな暴漢とは違うもの。」
「酷い言い草。」
「私みたいな周到さも、あの子には無いし。」
「それは言えてる。…だけど、一回会ったら忘れねぇだろ。あんなヒゲの濃い帽子の煙草男によ。」
「えぇ…それもそうね。きっとそうだわ。ねぇ、ルパン。」
「なんだ? 不二子。」
「私もあなたを忘れたら、思い出させてね。」
「任せとけ、忘れさせるかってんだ、このルパン三世様を。思い出させてやるよ、嫌ってほどにな。」
二人で肩を寄せて、仲間の帰りを待った。
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