ニコチアナの花
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かもめの素っ頓狂な申し出に、関係者一同がどよめいた。
「別に私達、悪事の暴きたてに来たわけじゃないんだよね。ただの小金を求めた小悪党。お金と船が貰えたら、大人しくこの島のことはぜーんぶ忘れてあげる!どうかな?」
相棒の企みはわからないが、考えがあってのことだと信じる。
「ば…バカなことを。」
「…って言うか、アンタに選択権はないんだよね、クリストフのおっさん?これは要求、命令!」
俺の手の中で銃口を突きつけられたそのおっさんは、冷や汗をかきながら部下に指示を出した。
「…船と、ありったけの金を用意しろ。」
「ですが、クリストフ様!」
「急げ!私がどうなってもいいのか?」
数人の部下がばたばたとハケていく。かもめは懐からパウチに入った注射器を取り出した。バリ、と引き破りながら話を続ける。
「ところでおじさん、五ヱ門はどこにいるの?」
「五ヱ門?…知らんな。」
拾い物の「スランバー・パーティ」のタバコ葉を薬液に浸し、その液体を注射器で吸い上げる。
「ニコチアナ・ウロボロスの血管摂取って、実験して見たかったんだよね。」
「?!…待て!本当に知らないんだ!」
「経口摂取であの依存度・禁断症状だもん、血管に直に注射しちゃったらどうなるのかな〜。」
クリストフの首筋にちょいちょいと針の先を当てるかもめは、なんというか、流石だった。
「あの和服の男のことだろう?だが本当に知らないんだ!許してくれ!」
顔を見合わせる。
「…本当に知らないっぽいね。」
「ああ、困ったな。」
バタバタとアタッシュケースを持った奴の部下が入ってくると同時に、地鳴りのようなヘリコプターの音が無数に響いた。
「頃合いだね。」
「クリストフ様!本土の警察陣が立ち入ってきました!」
「何だと?!」
「それだけじゃありません、世界各国のマスコミも!」
「それじゃあ、精々生きて苦しんでね。クリストフのおっさん。」
かもめは躊躇いなくクリストフの首筋に注射器を突き刺した。そして間髪を入れずに、素早く男たちのアタッシュケースを引ったくる。たっぷりと重量感のあるそれを、俺に投げてよこした。人質から手を離して受け取る。ヘリの襲来に呆気に取られた部下をかき分け、控え室のほうに逃げ込んだ。
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