ニコチアナの花
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一晩掛けて、小さな相棒が取った手段は、随分とシンプルでオーソドックスなものだった。
集めた証拠と研究結果を、本土のあらゆる研究施設、医療機関、そしてマスコミに送りつけるというもの。寝不足らしい目を擦りながら、ポストに茶封筒をいくつも入れ、ホテルのラウンジで軽く食事を摂った。
「私らには薬漬けになった村民の面倒なんか見きれないからね。離島とはいえ、ここまですれば本国も黙ってられないでしょ。」
「立派なことで。」
「そんなんじゃない。寝覚めが悪いでしょ。私はぐっすり眠りたいの。」
自由を奪われた民に、なんとなく過去を重ねていることが伺える。
「で、五ヱ門とは連絡着いたの?」
「いいや、全く。厄介なことになっちまったな。」
とにかく五ヱ門と合流しようと、リゾートを出て風俗街を通り抜ける。その時、言い様のない違和感が襲った。朝の風俗街が静かなのは、なんら珍しくないことだが。
「…随分空気が綺麗じゃねぇか?」
「確かに…。昨日はあんなに煙たかったのに。」
畑を抜け、村に踏み入れても、昨日うんざりするほど嗅いだ煙は見る影もない。道に座り込んだ老人に声を掛けた。
「おいジイさん、あんたら急に嫌煙家にでもなったのか?」
その老人はガタガタと震えながらこちらを見た。焦点の合わない目にぞっとする。
「髭面の帽子の男と、小柄な女の連れ…あんたらか…あんたらか!!」
老人の吠えるような声に誘われて、ゾンビのように住人が這い出てくる。手には農機具や包丁、武器になりそうなものを身構えて。
「おいおい、どうなってんだこりゃ。」
帽子を押さえつつ走り出せば、かもめが珍しく苛立った声を上げた。
「どう見たって、禁断症状でしょ!」
***