ニコチアナの花
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小さな相棒は部屋に戻るなり血相を変えてアレコレと調べ物を始めた。片手でパソコンをいじる傍ら、拾ったタバコの巻紙を解いて、シャーレにタバコ葉を広げ、試験管に薬剤を注ぎ…。
一服しようとして、手持ちのタバコが切れそうなことに気がついた。
「タバコ買ってきていいか?」
「やめた方がいいかもね。」
「そいつとは銘柄が違うだろ?」
「そうだけどさ、各国の銘柄でも生産はまちまちなの、次元だって知ってるでしょ?」
確かに、輸送費削減のため、現地に工場を作るというのはよく聞く話ではある。アメリカンスピリットでさえ、今は日本国内には日本産が流通する。
「混ぜモンでもあるってのか?」
「あるかもね。」
「畜生。お前から禁煙を言い渡されることになるたァな。」
残りのタバコは大事に吸うべきか。懐にしまい直して、かもめが調べているタバコの箱に手を伸ばした。
「スランバー・パーティ、なんて銘柄、聞いたことがねぇ。」
「この国の、この島にしかない銘柄みたいよ。」
そういいながら、かもめは調べかけのパソコン画面をこちらに向けて来た。
「あの村の奴らがあんな腑抜けた様子なのは、コイツの仕業だってのか。」
「どうやらそうみたいね。思ってたよりずっと酷いや。タバコというより麻薬だもん、これ。」
試験管を振り振りかもめが答える。
「私もはじめて見たけど、恐らくあのタバコ畑に紛れて栽培されてるのね。界隈でも噂しか聞いたことがない、ニコチアナ・ウロボロス。この葉っぱが3割くらい含まれてる。依存度が異常に高くて、一度でも口にしたら、これ無しには生きていけないレベル。子供、もしくは年寄りにはモルヒネに似た鎮静作用が、それ以外の成人男女には所謂催淫…媚薬効果がある。慢性的に摂取すれば、大脳皮質がぶっ壊れるよ。」
風俗街の煙たい様子を思い出すと、納得せざるを得ない。ネットの記事を読み込めば、この島の福利厚生の一環として、たばこ税の免除がある。ふざけた話だ。
そしてこのタバコの銘柄が生まれたのは、ドンピシャに5年前のこと。
「貧しき者ははなからこの島から出られず、努力して小金をを得たものは、やむなくコイツで頭をパーにされるって訳か。」
「想像しうる最悪の構図ね。しかし厄介なのはどう処分するか…燃やすと麻薬物質が空気中に飛んじゃうし、植物だから埋めてもまた生えてくるし…第一始末後もコレにめちゃくちゃ依存してる住民がちゃんと生きていけるかどうか…。」
「副流煙の効果はどうなんだ?」
「直に吸うよりは断然マシだけど、沢山吸ったらヤバイかもね。」
「置いてくるんじゃなかったな。」
「何を?」
「五ヱ門。」
***
一服しようとして、手持ちのタバコが切れそうなことに気がついた。
「タバコ買ってきていいか?」
「やめた方がいいかもね。」
「そいつとは銘柄が違うだろ?」
「そうだけどさ、各国の銘柄でも生産はまちまちなの、次元だって知ってるでしょ?」
確かに、輸送費削減のため、現地に工場を作るというのはよく聞く話ではある。アメリカンスピリットでさえ、今は日本国内には日本産が流通する。
「混ぜモンでもあるってのか?」
「あるかもね。」
「畜生。お前から禁煙を言い渡されることになるたァな。」
残りのタバコは大事に吸うべきか。懐にしまい直して、かもめが調べているタバコの箱に手を伸ばした。
「スランバー・パーティ、なんて銘柄、聞いたことがねぇ。」
「この国の、この島にしかない銘柄みたいよ。」
そういいながら、かもめは調べかけのパソコン画面をこちらに向けて来た。
「あの村の奴らがあんな腑抜けた様子なのは、コイツの仕業だってのか。」
「どうやらそうみたいね。思ってたよりずっと酷いや。タバコというより麻薬だもん、これ。」
試験管を振り振りかもめが答える。
「私もはじめて見たけど、恐らくあのタバコ畑に紛れて栽培されてるのね。界隈でも噂しか聞いたことがない、ニコチアナ・ウロボロス。この葉っぱが3割くらい含まれてる。依存度が異常に高くて、一度でも口にしたら、これ無しには生きていけないレベル。子供、もしくは年寄りにはモルヒネに似た鎮静作用が、それ以外の成人男女には所謂催淫…媚薬効果がある。慢性的に摂取すれば、大脳皮質がぶっ壊れるよ。」
風俗街の煙たい様子を思い出すと、納得せざるを得ない。ネットの記事を読み込めば、この島の福利厚生の一環として、たばこ税の免除がある。ふざけた話だ。
そしてこのタバコの銘柄が生まれたのは、ドンピシャに5年前のこと。
「貧しき者ははなからこの島から出られず、努力して小金をを得たものは、やむなくコイツで頭をパーにされるって訳か。」
「想像しうる最悪の構図ね。しかし厄介なのはどう処分するか…燃やすと麻薬物質が空気中に飛んじゃうし、植物だから埋めてもまた生えてくるし…第一始末後もコレにめちゃくちゃ依存してる住民がちゃんと生きていけるかどうか…。」
「副流煙の効果はどうなんだ?」
「直に吸うよりは断然マシだけど、沢山吸ったらヤバイかもね。」
「置いてくるんじゃなかったな。」
「何を?」
「五ヱ門。」
***