ニコチアナの花
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次元は寝てるんだか起きてるんだかわからない時が多い。帽子を深くかぶって、足を組んで。
大体は浅く眠っている。彼がぐーすか大いびきをかいて寝相悪く熟睡する瞬間を、今のところ見たことはない。
でも今日は、そんな彼にしてはぐっすりと眠っているみたいで、いつも頭の後ろで組んでいる手をだらりと垂らして、スヤスヤと子供のような寝息をたてていた。
私はココア片手に彼の傍らに座り込んだ。本当にぐっすりらしい。
息を殺して慎重に、顔を覆い隠した帽子を外すと、いつもきつく皺が刻まれた眉間と一文字に引き結ばれた口角は緩んで、ヒゲ面に似合わないあどけない表情が見えた。
あまりにも可愛らしくて吹き出しそうになる。猛烈に写真を撮りたい。だけど写真なんか撮ったらめちゃくちゃ怒らせるだろうな。
そうでなくても、犯罪者二人、指名手配以外の写真には縁遠い人生だ。
せめて記憶に焼き付けようと、穴があくほど見つめて、ヒゲに指を絡ませた。
傍らのココアのように甘い時間を、終わりにしたのは彼の携帯のバイブ音。ローテーブルをガタつかせて響くそれは、このかわいい寝顔をすぐにも壊してしまいそうで、思わず手に取ってしまった。
画面に映るのは数字の羅列で、誰からの着信かは分からない。
次元の眉間には皺が深くなった。あーあ、やがて起きちゃうな。
起き抜けの彼に携帯を渡すのはなんだか憚られて、代わりに受話器を取った。
「はいもしもし、次元ですけど。」
寝ぼけ眼のヒゲがソファから転がり落ちて、電話口でひどく咳き込む声がした。
『…かもめ殿か。』
「ああ、なんだ、五ヱ門さんか。」
『…ご成婚、おめでとう。』
「ばっ…ばっかじゃないの、次元の携帯だもん。私の名前で出る訳にいかないじゃない。」
完全に無意識だったので、今更二人が驚いた意味が飲み込めて不意に恥ずかしくなる。決まりの悪さに咳払いを一つした。
「…それで、何か用事があって電話したんでしょう?」
『うむ…折り入って相談したいことがあってな。かもめ殿も一緒とは都合がいい。指定する場所まで二人で来てくれないか?』
「ふーん? お金になる話?」
『場合によっては。…だが、らしくもない、かもめ殿が金の話など。』
「残念ながら困ってんだよね。んで、場所は?」
ホテルに備え付けの白いメモ帳に行き先を書き留めた。
***
大体は浅く眠っている。彼がぐーすか大いびきをかいて寝相悪く熟睡する瞬間を、今のところ見たことはない。
でも今日は、そんな彼にしてはぐっすりと眠っているみたいで、いつも頭の後ろで組んでいる手をだらりと垂らして、スヤスヤと子供のような寝息をたてていた。
私はココア片手に彼の傍らに座り込んだ。本当にぐっすりらしい。
息を殺して慎重に、顔を覆い隠した帽子を外すと、いつもきつく皺が刻まれた眉間と一文字に引き結ばれた口角は緩んで、ヒゲ面に似合わないあどけない表情が見えた。
あまりにも可愛らしくて吹き出しそうになる。猛烈に写真を撮りたい。だけど写真なんか撮ったらめちゃくちゃ怒らせるだろうな。
そうでなくても、犯罪者二人、指名手配以外の写真には縁遠い人生だ。
せめて記憶に焼き付けようと、穴があくほど見つめて、ヒゲに指を絡ませた。
傍らのココアのように甘い時間を、終わりにしたのは彼の携帯のバイブ音。ローテーブルをガタつかせて響くそれは、このかわいい寝顔をすぐにも壊してしまいそうで、思わず手に取ってしまった。
画面に映るのは数字の羅列で、誰からの着信かは分からない。
次元の眉間には皺が深くなった。あーあ、やがて起きちゃうな。
起き抜けの彼に携帯を渡すのはなんだか憚られて、代わりに受話器を取った。
「はいもしもし、次元ですけど。」
寝ぼけ眼のヒゲがソファから転がり落ちて、電話口でひどく咳き込む声がした。
『…かもめ殿か。』
「ああ、なんだ、五ヱ門さんか。」
『…ご成婚、おめでとう。』
「ばっ…ばっかじゃないの、次元の携帯だもん。私の名前で出る訳にいかないじゃない。」
完全に無意識だったので、今更二人が驚いた意味が飲み込めて不意に恥ずかしくなる。決まりの悪さに咳払いを一つした。
「…それで、何か用事があって電話したんでしょう?」
『うむ…折り入って相談したいことがあってな。かもめ殿も一緒とは都合がいい。指定する場所まで二人で来てくれないか?』
「ふーん? お金になる話?」
『場合によっては。…だが、らしくもない、かもめ殿が金の話など。』
「残念ながら困ってんだよね。んで、場所は?」
ホテルに備え付けの白いメモ帳に行き先を書き留めた。
***