ニコチアナの花
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彼の腕の中で目が覚めた。
警察が絡んだので、やっぱり昨日のモーテルにも帰れなくて。決して治安の良いとは言えない地域の安宿に転がり込んで、そのまま眠りについたのだった。彼を起こさないようにそっと腕をすり抜ける。
あろうことかこの宿は、シャワールームに壁さえ無いのだ。綺麗な水が出るだけ良いものだけど、寝室とシャワールームを区切るのは化学繊維で出来たペラペラのカーテン一枚。
つるつるの白い、猫足に金のメッキを施されたバスタブだけが新品だ。お湯に浸かりたくて、蛇口を捻った。
汗と火薬でべたつくつなぎを脱ぐと、昨日の不細工な縄跡が痛々しく体に残っていた。もともと首に不細工な傷があるのに、やめてくれよと思いながら、チョーカーを外した。
肌寒くて、まだ半分も湯が溜まらないバスタブに膝を抱えて座る。カーテンが揺れる。
「入るぞ。」
ワイシャツの胸元をだらしなく開いた、まさしく寝起きの彼が、顔を洗いに入ってきた。
「ボロだね。」
「あぁ、ボロだな。」
疲れの抜けない体で、面白くも無い冗談に口角をそっと上げる。彼は小さな洗面台で、髪まで濡らして乱暴に顔を洗った。のりの効きすぎた硬いタオルで雑に顔を拭って、バスタブのへりに腰かける。顔をしかめて、その指先で私の体を赤くのたうつ縄跡をなぞる。
「肌が白いから余計に目立つのよ。」
一体誰への慰めなのか、自分でもよくわからない励ましを呟いた。不意に濡れた手の甲にキスを落とされた。
「次元、あのね。」
「何だ?」
「私、お風呂は肩まで浸かるのが好きなの。」
「あぁ。」
「だのに、このバスタブ、なかなかお湯が溜まらないのよ。」
「どういう意味だ?」
「一緒に入ろう?」
次元はあからさまにうんざりした顔をした。
「ちょっと狭すぎるんじゃないか?」
「背中、流してあげるよ?」
「要らねぇよ、馬鹿。」
***
警察が絡んだので、やっぱり昨日のモーテルにも帰れなくて。決して治安の良いとは言えない地域の安宿に転がり込んで、そのまま眠りについたのだった。彼を起こさないようにそっと腕をすり抜ける。
あろうことかこの宿は、シャワールームに壁さえ無いのだ。綺麗な水が出るだけ良いものだけど、寝室とシャワールームを区切るのは化学繊維で出来たペラペラのカーテン一枚。
つるつるの白い、猫足に金のメッキを施されたバスタブだけが新品だ。お湯に浸かりたくて、蛇口を捻った。
汗と火薬でべたつくつなぎを脱ぐと、昨日の不細工な縄跡が痛々しく体に残っていた。もともと首に不細工な傷があるのに、やめてくれよと思いながら、チョーカーを外した。
肌寒くて、まだ半分も湯が溜まらないバスタブに膝を抱えて座る。カーテンが揺れる。
「入るぞ。」
ワイシャツの胸元をだらしなく開いた、まさしく寝起きの彼が、顔を洗いに入ってきた。
「ボロだね。」
「あぁ、ボロだな。」
疲れの抜けない体で、面白くも無い冗談に口角をそっと上げる。彼は小さな洗面台で、髪まで濡らして乱暴に顔を洗った。のりの効きすぎた硬いタオルで雑に顔を拭って、バスタブのへりに腰かける。顔をしかめて、その指先で私の体を赤くのたうつ縄跡をなぞる。
「肌が白いから余計に目立つのよ。」
一体誰への慰めなのか、自分でもよくわからない励ましを呟いた。不意に濡れた手の甲にキスを落とされた。
「次元、あのね。」
「何だ?」
「私、お風呂は肩まで浸かるのが好きなの。」
「あぁ。」
「だのに、このバスタブ、なかなかお湯が溜まらないのよ。」
「どういう意味だ?」
「一緒に入ろう?」
次元はあからさまにうんざりした顔をした。
「ちょっと狭すぎるんじゃないか?」
「背中、流してあげるよ?」
「要らねぇよ、馬鹿。」
***