私を月に
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「次から次に…一体何だってんだ。」
「今日は厄日ね。」
薄暗い墓地に、派手な明かりがチカチカ光る。気に入らない色だ。ついさっきまで気絶させられていた小さな相棒のコンディションが気がかりだった。
「…走れるか?」
「勿論。走りたかないけどね。」
言うまでもなく、警察だ。呆れて声も出ない。とにかく身を隠すため、墓地の待合所のような薄汚い東屋に走った。体を小さくして身を隠す。
東屋の天窓からはでかい月が見下ろしていた。俺らの逃げ場などないと言うように。
「一体誰が…。」
「あの女に決まってるじゃない。」
「だが、そんな暇無かったはずだろ?お前だってあの場にいたから分かる筈だ。」
「次元がマグナムを手にした瞬間、逃げ出した男が一人いたの気付かなかった?失敗したら通報する手筈だったのよ、たぶんね。」
仲間を全員売ってでも、俺たちを逃さないつもりだったというのか。
小声で話して居ると、強すぎる光が四方八方を囲んだ。
「クソッ…。」
相棒は呑気に天窓から覗く月を眺めている。
『お前たちは包囲されている、大人しく投降しなさい。』
「…わお、マジで言うんだ。」
分厚い雲に隠れる月を眺めながら、かもめは囁き声で俺に問いかける。
「次元、ライト全部潰せる?」
「ああ…ライトだけなら。」
それほど残弾数はない。
「それで十分。」
かもめはいつものハンチング帽を深く被り、俺の手を握った。
手を引き、身を交わしながらライトを1つ、2つと打ち抜いた。やがて月のない夜が暗闇に包まれた。警察がどよめく中、自分を握る手がするりと抜ける。
面食らって周りを見渡すが、先ほどまで強い光に照らされていたのだ。そこには暗闇しか見えない。気配を探そうにも、警察どものざわめきがやかましい。名前を呼びそうになったその瞬間、手を引かれた。導かれるままに走り、白バイに跨る。
促されるままに細い腰に腕を回した。かもめは景気良くエンジンを吹かし、そのエンジン音を搔き消すように爆発が起こった。
あの一瞬で爆弾を仕掛けたというのか。
爆発音に背中を押されるように走りながら、今の一瞬の出来事に説明を求める。
「…お前、暗視ゴーグルでもつけてたのか?」
「ううん。そんなもの持ってない。」
「じゃあ、余程夜目が効くのか?」
「まさか。手を繋いでからずっと目を瞑ってたの。」
目を閉じて、暗闇に目を慣らしていたと?
「次元なら、きちんとエスコートしてくれるでしょう?」
「…大した女だよ、お前。」
「あなたの女よ。」
分厚い雲に覆われた月がようやく顔を覗かせた。満月だった。
「今日は厄日ね。」
薄暗い墓地に、派手な明かりがチカチカ光る。気に入らない色だ。ついさっきまで気絶させられていた小さな相棒のコンディションが気がかりだった。
「…走れるか?」
「勿論。走りたかないけどね。」
言うまでもなく、警察だ。呆れて声も出ない。とにかく身を隠すため、墓地の待合所のような薄汚い東屋に走った。体を小さくして身を隠す。
東屋の天窓からはでかい月が見下ろしていた。俺らの逃げ場などないと言うように。
「一体誰が…。」
「あの女に決まってるじゃない。」
「だが、そんな暇無かったはずだろ?お前だってあの場にいたから分かる筈だ。」
「次元がマグナムを手にした瞬間、逃げ出した男が一人いたの気付かなかった?失敗したら通報する手筈だったのよ、たぶんね。」
仲間を全員売ってでも、俺たちを逃さないつもりだったというのか。
小声で話して居ると、強すぎる光が四方八方を囲んだ。
「クソッ…。」
相棒は呑気に天窓から覗く月を眺めている。
『お前たちは包囲されている、大人しく投降しなさい。』
「…わお、マジで言うんだ。」
分厚い雲に隠れる月を眺めながら、かもめは囁き声で俺に問いかける。
「次元、ライト全部潰せる?」
「ああ…ライトだけなら。」
それほど残弾数はない。
「それで十分。」
かもめはいつものハンチング帽を深く被り、俺の手を握った。
手を引き、身を交わしながらライトを1つ、2つと打ち抜いた。やがて月のない夜が暗闇に包まれた。警察がどよめく中、自分を握る手がするりと抜ける。
面食らって周りを見渡すが、先ほどまで強い光に照らされていたのだ。そこには暗闇しか見えない。気配を探そうにも、警察どものざわめきがやかましい。名前を呼びそうになったその瞬間、手を引かれた。導かれるままに走り、白バイに跨る。
促されるままに細い腰に腕を回した。かもめは景気良くエンジンを吹かし、そのエンジン音を搔き消すように爆発が起こった。
あの一瞬で爆弾を仕掛けたというのか。
爆発音に背中を押されるように走りながら、今の一瞬の出来事に説明を求める。
「…お前、暗視ゴーグルでもつけてたのか?」
「ううん。そんなもの持ってない。」
「じゃあ、余程夜目が効くのか?」
「まさか。手を繋いでからずっと目を瞑ってたの。」
目を閉じて、暗闇に目を慣らしていたと?
「次元なら、きちんとエスコートしてくれるでしょう?」
「…大した女だよ、お前。」
「あなたの女よ。」
分厚い雲に覆われた月がようやく顔を覗かせた。満月だった。