私を月に
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死んだ?
次の瞬間には、グラグラと揺れる視界、ズキズキ痛む頭に、生きてることを感じた。気絶させられたのか。
体を縛る縄がキツくて身をよじる。こりゃ無事に帰れても縄跡が残るだろうな。荘厳なボスの葬儀場のど真ん中、下っ端ファミリーに囲まれて、黒い椅子に、手も足も麻縄できつく縛られている。
手向けられた百合がひどく香る。空は分厚い灰色の雲に覆われて薄暗く、眼に映る世界はモノトーンになっちゃったんじゃないかと錯覚する。
「あなたを殺しちゃえば、彼の頭は私でいっぱいになるかしら。」
黒幕の、見た目だけは綺麗な女が問いかける。モノクロの世界で、その女の緑の目が異様に光っていた。
「…それはないと思うけど? 私、ただの押しかけ女房だもん。ただ邪魔者が消えてちょっぴり清々して、すぐに忘れちゃうんじゃないかな。」
何でもいい。ハッタリでもいい。少しでも時間を延ばして、生き延びるチャンスを見つけなきゃ。
それが彼の隣に居るために、今の私にできること。
不意に、どこからか、空気をバリバリと引き裂くような、耳障りなスピーカーの音が響いた。雑音と共に、会話が聞こえはじめた。
『…カウンセリングは抜きにして、女同士で話しません?…随分面倒な男とお付き合いしてたみたいで?』
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