私を月に
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「お前、そのいつも言うカウンセリングってやつは、一体何やってんだ?…具体的に。」
「そんなの、被験者とか、聞き出したい情報によって違うけど。…そうね、例えば。」
朝のカフェラウンジで、紙ナプキンを一枚とって、次元に渡す。
「実のなる木を描いて。」
「木?」
「なんでもいいの。実のなる木。」
次元は訝しげにナプキンにペンを走らせた。
「…これでいいのか?」
「どれどれ。」
ナプキンには中心より少し左下にクネクネと松のような木が書かれている。幹にはポツポツと小さなウロ。りんごみたいな実は枝にしっかり着いている。落ちた実が二つ。
「…次元、意外と絵へちょいね。」
「お前…んな文句つけるためにやらせたのか?」
「違うよ。これはバウムテスト。」
簡単に説明する。バウムテストとは、被験者の性格傾向を図るテストのこと。この絵から読み取ると、くにゃくにゃした枝からはこだわり屋な性質、位置する左下は、過去にとらわれがちな部分があることを示す。実は目標を示し、枝についた実は現在実行中の目標。落ちた実は諦めた目標。木のウロは、全体を今の年齢として、トラウマがあった年齢を示す。
「そんな占いじみたことやってんのか?」
「まあこれは性格傾向の参考までにってテストだけど。一応権威のあるテスト方法だよ。大当たりじゃないかもだけど、大外しはしてないでしょ?」
こう言うちょっとしたテストをして性格を図りつつ、推理と会話を重ねる。自分が書いた木をしげしげと眺める次元をよそに、私はバナナ味のバームクーヘンを齧って、コーヒーに口をつけた。
「意外とちゃんとカウンセリングっぽいことしてんだな。」
「…まあ、急を要する時の方が多いから、ふだんはこんなに丁寧にはやれないけど。」
***