パピヨン・ボヤージュ
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思えば長い1日だった。くたびれた体に塩気の強いブリトーがしみる。
「ああ、たまには美味しいね、ジャンクな油の味。」
「たまには、な。いつもだったら胃に重い。」
「年寄り。」
「にゃろう。」
軽口を叩けるようになって安心した。
まあ、ずっと一緒に…は、居られないと思うけど。それが二人にとって良いことだって、今はまだ思えないけど、美しい私の森の代償に、思い出す綺麗な思い出が、もう2、3あったっていい。…そばに居られるように、もう少し強くなろう。心密かにそう決心して。
一緒に来てくれ。
そう言ってくれた彼の言葉が、どうしようもなく嬉しかった。きっとプロポーズをされた女の子は、こんな気持ちになるんだろう。
花束とか、宝石とか、それよりもっと素敵なものをもらったような気持ちだった。
彼の隣にいると、時々すごく眠くなる。耐えきれないくらいの眠気。
いつもそう長く、深く眠る方じゃないのに、心の何処かがどうしようもなく緩んでしまう。
いっぱいになったお腹をさすって、先にシャワーを浴びた。
濡れた鏡に映った自分の顔が、笑えるほど疲れている。首に残る傷跡をなぞった。
お湯でも流れない眠気に、ベッドに大の字に体を委ねていると、ベッドの片方が沈んだ。
シングルベッドなのに。込み上がる笑いを噛み殺して、寝たふりをすると、おでこに優しくキスが落ちて来た。彼の手が優しく前髪を撫で、止まる。
「…お前起きてるだろ。」
「ベッドが狭いよ、寂しがりやさん。」
寝返りを打って、ベッドを半分明け渡す。小さなベッドで身を寄せ合って眠った。窮屈でしょうがないのに、どんな高級なベッドよりも、私はぐっすりと眠れるのだった。
***