物語は突然に
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味方にはなりたくない。だが、敵に回したくはない。そんな依頼主。
「よく来た。久しぶりだな。次元大介。」
ルパンと仕事をしだすよりもっと前、殺し屋や用心棒まがいのことで身を立てていた頃、この男に雇われていた。
イヴァン・ペルヴェム。
表向きは慈善事業に従事する温厚な男。実際にはその慈善事業を遂行するためにはどんな手段も選ばないーーつまりは行き過ぎた正義漢。そんな男が今やこのイタリア全20州のうち一つの知事を勤めている。
行き過ぎた正義なんて、わかり易い悪よりもタチが悪い。懐かしい友、とでも言うように差し出された右手を無視して、本題を尋ねる。
「慈善事業団体のお偉いさんで、今や州知事のお前さんが、俺みたいな人間に何のご依頼だ?」
「言っただろう?しばしの間私の護衛について欲しいだけだよ。」
瞳の奥が笑っていない。
「俺は疑り深い男でな、知らないうちに悪事の片棒担がされるのはごめんでね。」
「散々な悪事をして来ただろうに、何を今更。」
「その何分の1かはお前さんからの依頼だぜ。担ぐ棒は選ぶっつってんだ。」
「やれやれ、今だって泥棒の片棒を担いでいると聞いてるぞ。」
「それはそれ。これはこれだ。」
イヴァンは深くため息をついて、何も隠し事はない、というように寮の手のひらを俺に見せた。鈍く光る無骨な指輪は、昔にはなかったものだと気付く。
「二ヶ月後、州知事選の再選挙がある。その選挙を無事に生き延びたい、それだけだよ。…どのみち、依頼を断ったらどれだけの組織を敵に回すか、君だってわからないわけじゃないだろう?」
「約束しろ、この依頼が済んだら、もう二度と俺には関わらないと。」
「ああ…約束しよう。次の選挙さえ生き延びれば、私の国はもっと美しくなるのだから。」
次の選挙がなぜそこまで重要なのか。測りかねて奥歯を噛む。悪い予感が止まらない。悪い予感にまるで拍車を掛けるように、イヴァンの傍の端末機がけたたましく音を立てた。
「…来客中だが?」
『イヴァン様、時計塔のメダルが盗まれました!!』
「何?! すぐ犯人を特定しろ!!」
『それが…犯行現場に丁寧にメッセージが…』
プァーヴァルのメダルは頂いた!
ルパン三世
***