エピローグ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
日が暮れて来た。
「戻って来ちゃったね。」
街をふらふらと一周して、最初に待ち合わせた公園に戻って来た。
「わざと戻って来たんだよ。ほら。」
公園の岬に立たせると、かもめはため息をついた。
「うわあ…。」
この公園からは海が見える。夕日が水面に反射して、海岸沿いに停泊する色とりどりの小舟を赤く染める。海岸とカラフルな建物が混ざり合うこの街の、一番美しい景色。
「この、ロマンチスト。」
「茶化すなよ。…気に入ったか?」
「気に入りすぎるくらい!この景色をポケットに入れて持って行くわ。」
「あー…。」
「なぁに?」
「本当にポケットに入る分のプレゼントもあるんだが?」
「プレゼント!この、ロマンチスト!」
「茶化すなよ。…俺はルパンと違ってな。贈り物は得意じゃねぇんだ。気にいるか分からねぇが…受け取ってくれるか?」
ポケットから取り出した、真ん中に小さな石が揺れる、シンプルなチョーカー。かもめの瞳が輝いた。
「いつの間に?」
「職業柄、隙をつくのは得意でな。急ごしらえだが。」
かもめは、襟元のボタンを外しながら、後ろを向いて答える。
「付けて。」
細い首に手を回した。
「痛くないか?」
「全然。これ、綺麗ね…なんていう石?」
「ウォーター・サファイア…アイオライトってやつだな。」
不意にくすくすと笑うので、不安になって問いかけた。
「気に入らなかったか?」
「気に入りすぎるくらいよ…でもなんだか次元らしい色じゃない?ルパンたちに見せたら一発で次元から貰ったってばれちゃうなって…。」
「見せつけてやれ。」
腕の中でかもめが振り返った。首元の石がキラリと光る。はにかんだように微笑んで、聞く。
「…どうかな?似合う?」
「あぁ、似合いすぎるぐらいにな。」
二人で顔を寄せてくすくすと笑う。
「これからは本当に好きな服着るこったな。もう、自由なんだから。」
頭をぽんぽん、と撫でると、かもめは頭に乗せた手をぎゅっと掴んだ。
「自由になったら、次元はどこかに行っちゃうの?」
「…あのな、俺ァお前が思ってるほど良い人間じゃねぇよ。泥棒で、殺し屋だ。」
「そんなの知ってるよ。私も似たようなものだもん。」
イヴァンの手から逃れた今でも、爆弾ネズミの頃に犯した罪と買った恨みは消えない。
「ずっと一緒に居てなんて言わないけど…好きなんだよ、次元と一緒にいるの。好きなの。」
俺の手を頰に添えて頬ずりするかもめは、目にいっぱいの涙を浮かべて、それでもいたずらっ子のように歯を見せて、へへ、と笑った。
「俺も、好きだよ。」
ぽろり、零れた涙は、夕日に光って、首元の宝石よりも輝いた。
デート、まだ終わりじゃないだろう?と、握られた手を繋ぎなおせば、かもめは空いた方の手で涙を拭いながら頷いた。
***