エピローグ
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気持ちいいくらい空が青い、昼下がり。
普通は買い物とか、映画とか、食事とか、そういうことをするんだよ。お前、どこか行きたいところねぇのか?と聞けば、次元と一緒ならどこでも楽しいからなぁ、と歯の浮くようなセリフが帰って来た。素で言ってるからたちが悪い。
いくつかプランを考えてはいたが、結局、少し街を歩いて、気になるところに寄り道しながら進むことになった。
進みながらも、歩くだけで幸せそうで、何も欲しがらないかもめに、男としては少しやきもきして声を掛ける。ルパンと不二子のデートだったら、もうすでに抱えきれないほど紙袋を抱える距離だ。
「お前さん、何かねだってもいいんだぜ。」
頭をこちらの胸に傾けて、困ったようにかもめは言う。
「えーっと、ね。…じゃあ、アイスが食べたいです。」
「ガキ。」
「だって、何にも思いつかない。」
カフェテラスに入って、自分はコーヒーを啜りながら、あの日もこいつはアイスを食べていたんだったな、と思い出す。
「お前、何にも欲しがらないな?」
「勘違いしないでよ。欲しいものが大きすぎてポケットに入らないだけ。」
そうだった。こいつが欲しがったのは、環境そのもの。どんな大泥棒にも盗めない、でっかいお宝。
「…これからどうする気だ?」
「結局私も追われる身だからさ。仕事以外にも色々やらかしちゃってるし。」
「やらかしてる?」
「ギャングのドンを犬にして遊んだりしちゃったの。恨み買いまくってる。」
「お前、それ本当だったの?」
「だっておもちゃがそれしかなかったんだもん。」
しおらしく答えるかもめに、呆れて声も出ない。
「…しばらくは拠点探しかなぁ。眠れる場所は欲しいしね。新居を構えたら、遊びに来てよ。」
いつもと変わらない軽口を叩いて、ニィっと笑う。
子供っぽい女だが、「連れて行って」と言わないところが、大人だな、と思う。
勘違いされがちだが、俺とルパンの関係性も利害が一致しているだけで、仲良しこよしのお友達グループではない。長く一緒にいるから、絆のようなものはあるものの、あくまでビジネスパートナー。
情が絡んだだけの関係では仕事は破綻する。ここまでは目的が一緒だから共にいたが、いつまでも一緒に居られる訳じゃない。
根っこの部分は俺らと変わらない、スリルに飢えた生き物だが。欲しいものが違うのだ。
「…また機会があったら、一緒に仕事してよ。」
「あぁ…お前みたいないい仕事するやつとは、何度でも組みたいねぇ。」
***