緋色の終焉
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そもそも何年も肌に食い込むように着いていた首輪だったから、銃や刀の腕前とは別に、さすがに全くの無傷とはいかなくて。醜い傷跡を丁寧に消毒されて、しつこく軟膏を塗られる。そんなに優しく触られたら、変な気分になるんだけど?
「ねぇ、くすぐったいんだけど。…つばでもつけてりゃ治るったら」
「お返しだよ。人の手首はあんだけ丁寧にくすぐってた癖に。」
思い出して頰が熱くなる。仕上げに包帯を巻かれた。どうしてそんな無骨な手でそんなに優しく触れられるの?…彼のマグナムに嫉妬する。毎日あんなに優しく触れられているなんて。
日が暮れててよかった。自分の顔がどれだけ赤くなってるかわかったものじゃない。悟られないように大きな声を出した。
「さて、教えてあげようかな。理由。」
「お、聞かせて聞かせて。」
身を乗り出してくるルパンの口に人差し指を当てる。
「黙って着いてらっしゃいな。」
鉱山のより深く、水音が聞こえる洞窟の入り口。
「灯りがいるんじゃないか?」
「大丈夫。すぐに明るくなるから。」
靴に染みる水も気にせず奥に進むと、ポツポツと見える小さな灯り。
「星…? 洞窟の中に?」
不思議そうに呟く五ヱ門に教えてあげる。
「グロウ・ワーム。土ボタルの一種。」
光る羽虫がワサワサと飛ぶ。フハハ、とルパンが歓声をあげる。
「宇宙の中みてぇだな。」
「採掘作業を続けてて…地下に大きな空間があることがわかったの。ここは、独自の生態系が形作られてて、人間の干渉を受けないからこそ、ほら、こんなに美しく。」
発光体を持ったあらゆる植物が繁る庭。水面に反射したそれは、本当に無限に広がる星空のよう。
月明かりが差し込む、短い草の茂る丘に、四人で寝転んだ。
「川とか海とか空気とか子供達とか、クソどうでもよくなるでしょ?」
そう、究極の、ただのエゴ。この美しい景色を、誰にも壊されたくなかっただけ。
「でっーーけぇお宝。」
「盗んでもいいよ、ルパン三世?」
「俺のポケットにゃあちっとでかすぎらぁな。」
ルパンに頭を撫でられる。子供扱いされている感じはしなくて、髪を遊ばせるままにした。
「さて、さてさて。大人って仕事の後には一杯やるんでしょ。」
懐に忍ばせたウィスキーをのぞかせれば、三人の男はわかりやすく頰を緩めた。四つのグラスを水にくぐらせて冷やし、ウィスキーを注ぐ。ここの湧き水は驚くほど冷たくて、ほんのり甘くて美味しいのだ。
「はい、どうもどうも、お疲れ様でした。」
一人一人にグラスを手渡す。
ルパンはグラスを受け取る代わりに私の指先にキスをして、五ヱ門はかたじけない、と受け取り、次元はニヤッと笑った。
「これが何も知らない子供、のやることか?」
鼻をつついてやる。
「これからたくさん教えてもらうから、覚悟してね?」
「…クソガキ。」
ルパンが明るく指揮をとった。
「そんじゃま、皆さん。」
月明かりに、悪党4人でグラスを傾けた。
「「 カンパーイ!! 」」
***