緋色の終焉
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「かもめ!!」
早撃ちなら負けない。
銃はもう体の一部のようなもので、
考えるよりも早く体が動く。
だがそれは自分と相手、一対一で向き合った時の話。
予測のつかない動きをする、赤い蛇のような襲撃を、体で庇うのが精一杯だった。
しかしまぁ、考えるよりも早く体が庇っちまうたぁ、俺も相当なのかね。情が絡むと、やっぱり仕事になんねぇな。ぐい、と引き上げられ、体が宙を舞う。
受け身の取れない体でイヴァンの元に落ちた。体を鈍い衝撃が走る。硬く握られた手からマグナムが落ち、くるくると回転する。俺の可愛い愛銃を、奴は足で踏みつけて止めた。
「ふは、フハハハハ…なんとまぁ、か弱い乙女ではなく、髭面の男を人質に取ることになろうとはな。…まぁ良い。これで指輪も私の手中よ。さぁこれで取引条件ができたぞ!!!フハハ!!!」
蛇のような赤い触手はシュルシュルと手の中に収まった。
「指がないのも不便でね。ネズミに齧られてしまったので、新しい指を誂えたのだよ。どうだね、便利だろう?」
さっきまで隣にいたかもめは、すっかり殺気に溢れている。不細工な顔しやがって。
マグナムの銃口を、眉間にグリグリと押し当てられる。俺の愛銃を。
「さぁ、男の命が惜しければ、渡してもらおう。プァーヴァルのメダルをな。」
「クソッ…。」
ルパンが苦々しく舌打ちを打つ。
貫かれた傷口から血がドクドクと溢れるのを感じる。ちくしょうめ。
「ルパン、こんなメダル、渡しちまおう。」
振り切ったようにかもめが叫んだ。何かのハッタリか? …やけっぱちになったようにしか聞こえない。ルパンの懐に仕舞われたメダルの箱を、かもめはいともたやすく抜き取った。気が違ったやつの目をしている。
「ちょちょちょ、ちょっと待ったかもめちゃん!!」
「いいよ!もう、世界とか全部めんどくせぇよ!くそだよ!ファック!!」
「いやいやいや何のために今まで頑張って来たのよアンタ!!」
一体何の茶番を見せられているのか。
ただでさえ血が流れて貧血を起こしかけている体から、さらに血が引く。
「考えなおしてってばちょっともう深呼吸でもして…。」
後ろから羽交い締めにするルパンを振り払ってかもめは続けた。
「好きな男が死んじゃった世界なんて、もう滅んだのと一緒だよ!」
自由が残された足で、勢いよくメダルを蹴っ飛ばし、かもめは叫んだ。
「次元がいなくなっちゃった世界なんて、ひとっっつも興味ない!!」
***