緋色の終焉
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「チッ…狡猾なドブネズミめ…」
さて、イニシアチブは握ったけど、状況は変わってない。さながら早撃ちガンマンの硬直状態。
この状態で一番気をつけなくてはいけないことは、三人同時にやられないようにすること。爆弾も着火しなきゃただの土塊。世界は終わり、ゲームセット、サヨウナラ。
小声で囁く。
「次元、指輪まだちゃんと持ってるよね?」
「あぁ…懐にな。」
「ちゃんと持ってて。私と一緒に天国に行ける切符よ。もしもの時は、ためらいなく。」
「地獄に落ちる、の間違いじゃないのか?」
「二人なら寂しくないでしょ。」
「オイオイ、俺も一緒に連れてってくれよ。」
「ドブネズミがチュウチュウと。一体なんの会議だね?」
イヴァンのこめかみに血管が青々と浮かんでいる。潔癖で完璧主義、部屋をあんな悪趣味な家具で統一する男だもの。異物に関する反発力は人一倍。人心をも手中に収めて支配することが奴の生きがい。
どうしようもなく性格の悪い男。だけど、そこに隙がある。
そう、これは心理戦。
「いやな?結局最後の一枚のメダルが見つかってねぇんじゃね?って話してたところですよ〜。」
「最後の一枚はここにある。」
イヴァンの手には13枚目のメダル。
私たちの手元にあるものより一回り大きく、裏表があるようで、白と赤に色が分かれている。
さりげなくルパンと視線を合わせた。
記録をくまなく洗っても、
謎をどこから解きほぐしても
足りなかった1ピース。
全ての計算が、
謎が解けた。
その一瞬の隙。
イヴァンの腕ーーー私が齧った指ーーーから、赤い触手のような、先に返し針のついたコードが、蛇のように伸びた。
反応が遅れた。体の動きが追いつかない。
急所ど真ん中に来る! 喉の奥がヒュッと鳴る。
「かもめ!!」
私の急所めがけて飛んできたそれは、
隣の次元の肩を貫いた。
私を庇って。
呻き声とともに、
白い空間に赤い鮮血が散る。
肩を貫通したコードは次元の体をぐるぐる二周ほど回って、魚でも釣り上げるようにイヴァンの手元へと引き上げられた。
私がしてしまった唯一の計算違い。
それは、私以上に私を大切に思ってくれる人がいたことだった。
***
さて、イニシアチブは握ったけど、状況は変わってない。さながら早撃ちガンマンの硬直状態。
この状態で一番気をつけなくてはいけないことは、三人同時にやられないようにすること。爆弾も着火しなきゃただの土塊。世界は終わり、ゲームセット、サヨウナラ。
小声で囁く。
「次元、指輪まだちゃんと持ってるよね?」
「あぁ…懐にな。」
「ちゃんと持ってて。私と一緒に天国に行ける切符よ。もしもの時は、ためらいなく。」
「地獄に落ちる、の間違いじゃないのか?」
「二人なら寂しくないでしょ。」
「オイオイ、俺も一緒に連れてってくれよ。」
「ドブネズミがチュウチュウと。一体なんの会議だね?」
イヴァンのこめかみに血管が青々と浮かんでいる。潔癖で完璧主義、部屋をあんな悪趣味な家具で統一する男だもの。異物に関する反発力は人一倍。人心をも手中に収めて支配することが奴の生きがい。
どうしようもなく性格の悪い男。だけど、そこに隙がある。
そう、これは心理戦。
「いやな?結局最後の一枚のメダルが見つかってねぇんじゃね?って話してたところですよ〜。」
「最後の一枚はここにある。」
イヴァンの手には13枚目のメダル。
私たちの手元にあるものより一回り大きく、裏表があるようで、白と赤に色が分かれている。
さりげなくルパンと視線を合わせた。
記録をくまなく洗っても、
謎をどこから解きほぐしても
足りなかった1ピース。
全ての計算が、
謎が解けた。
その一瞬の隙。
イヴァンの腕ーーー私が齧った指ーーーから、赤い触手のような、先に返し針のついたコードが、蛇のように伸びた。
反応が遅れた。体の動きが追いつかない。
急所ど真ん中に来る! 喉の奥がヒュッと鳴る。
「かもめ!!」
私の急所めがけて飛んできたそれは、
隣の次元の肩を貫いた。
私を庇って。
呻き声とともに、
白い空間に赤い鮮血が散る。
肩を貫通したコードは次元の体をぐるぐる二周ほど回って、魚でも釣り上げるようにイヴァンの手元へと引き上げられた。
私がしてしまった唯一の計算違い。
それは、私以上に私を大切に思ってくれる人がいたことだった。
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