緋色の終焉
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「おかしい。」
しばらく寝っ転がって、言いようのない違和感に正体を見つける。
「おかしいって、何が。」
ルパンが促す続きを、次元が取り次いだ。
「この真上にルィティモ・プァーヴァルがあることが、だろ。」
目を合わせて、頷きあう。次元は知っているんだ。イヴァンの元で仕事をしていたことがあるから。
「…二人のワールド展開すんのやめてくんねぇかな、俺様拗ねっちまうぞ。」
「オメェがいつも不二子とやってる茶番よりマシだよ。少しは俺の気持ちを考えるいい機会だ。」
居直って、次元が続ける。
「…イヴァンは行きすぎたレベルの愛国者、それは俺たちの知るところだな? だが奴ぁ本拠地のここに、最終世界兵器を隠した。これは普通に考えりゃ、本拠に自分の武器を置く、当たり前のことだ。」
「だけど相手はあのイカれ愛国者。世界を七日で滅ぼすようなリスクのある武器を、自分の国に仕舞い込む?まして今起動の鍵のメダルの大半を握るのは私たち。もし私たちが起動させたら、真っ先に被害に遭うのは奴の愛するこの国だよね?」
「じゃ何だ?上にあるルィティモ・プァーヴァルが、囮の偽物だとでも?」
いつもは切れ者のルパンが事態についていけてないのも無理はない。これはイヴァン・ペルヴェムの狂気に触れたことのあるものにしか理解できないこと。
「いや、違うな。目的そのものが違うんじゃねぇか、と言いたいわけだ。俺たちは。」
「…イヴァンの本来の目的は、この国を滅ぼすために、ルィティモ・プァーヴァルを完成させようとしたと? 愛国者のあいつがか?」
そんなバカな、と納得できずに唸っているルパンに、私にしかできない説得をした。
「私、よく知ってるよ。ひどい事するときが一番親切なの。あの男。」
ルパンはようやく腑に落ちたように黙り込んでいたが、飛び上がった。
「…ってことは、ここをアジトに選んだのは大失敗じゃねぇか!」
『その通り、すでに貴様らは袋の鼠よ。』
聞き慣れた不快な声が部屋に響いた。
三人で背中合わせに銃を構え、部屋の真ん中に立つ。
『なかなか楽しませてもらったよ。私の子ネズミがこんなに人間らしい顔をするとはね。ルパン三世…心を奪う泥棒とはこのことか。』
「この場合盗んだのは俺じゃあなくて次元ちゃんだっけどな〜。」
この状況でも軽口を叩くところがルパンだよな、と、半分呆れるが、少しだけリラックスした気持ちになる。
『取引を、しようじゃないか。』
天井が開いて、床がせり上がった。真っ白な空間に放りだされる。
本来は大きな倉庫があるはずの場所。
目の前には丸腰に見えるイヴァン・ペルヴェムと、美しい兵器、ルィティモ・プァーヴァル。
気がおかしくなるほど図面を眺めたので、現物の仕組みがよくわかる。グリフォンのような、獣の形をしたその兵器は、背中の部分がぱっくりと開いている。
そこが操縦席…一人用、ずいぶん頑張って大人が二人ようやく入る程度の広さ。
「君たちにとっても良い取引だと思うのだがね。
…私の子ネズミと起爆装置の指輪を渡せ。そしたらルィティモ・プァーヴァルの解放は取りやめにしよう。」
***