終わりのはじまり
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ルパンがその車で向かったのは、イヴァンの本拠地ほど近くのイタリアの一流ホテルだった。車のまま中に入れるワンガレージタイプのホテルで、車で直接乗り込む。
「…なに考えてるの?」
「いやいやこれには理由があってね。イヴァンは並並ならぬ愛国者だろ?本拠から離れるより、近づいた方が派手な狙撃は受けにくいって寸法さ。」
「それは…どうかな。」
ルパンの並べる理由には充分納得がいく。でも、何かが引っかかる。
「で、その本はなんなんだ。」
「これは、作品集。エルヴィン・ヒューリーのね。」
「エルヴィン。宗教建築の一人者じゃないか。」
車を降りながら、俺でも知ってる、と次元が口を挟む。
「エルヴィンの作品集なら市場にも出回ってるだろう。なんでわざわざ。」
追われる身だというのに、まばゆいばかりのスイートルーム。綺麗なソファに腰掛け、ローテーブルに本を乗せた。
「あまり知られていないけど、エルヴィンはプァーヴァル族と深く関わりがあるの。彼が建築家として成功したのは晩年の話ね。若い頃は、まだ隔絶されていたプァーヴァル族に弟子入りして、科学技術を学んでいた。そして市場に出回る作品集は、プァーヴァル族の情報を一切消去したものの複製の複製の複製。本物には、ほら。」
ページの真ん中あたりを開く。それは作品集というよりはスクラップブックのようで、手紙やスケッチ、写真がごちゃごちゃと挟まっている。
「こりゃまあ。この本だけでも豪邸買えるくらいの価値があるんじゃねぇの?」
「ルパンは、ルィティモ・プァーヴァルの本体を見たことある?」
「んにゃ、写真でしかないな。あれだろ、グリフォンみたいな…。」
頷いて、続ける。
「本物のルィティモ・プァーヴァルを見たよ。…イヴァン・ペルヴェムの寝室で。写真ではわからないだろうけど、首元のあたり、銘が入ってたの。エルヴィンが作品に必ずつけるものと同じ。」
ルパンがパラパラと作品集をめくると、ルィティモ・プァーヴァルの図案が出て来た。ぴゅうと、口笛を吹く。
「ビンゴ。なるほど、宗教建築にメダルが隠されていたのはそういう理由か。全てエルヴィンが制作に携わっていたもんなぁ。」
「ほとんど全部私が壊しちゃったけどね。」
ベェ、と舌を出して答える。
「これは私の勘でしかないし…うまく言えないけど、あれは、単純な兵器ではない…と思う。」
あの美しいものが、世界を破壊するためだけに生み出されたとは思えない。実物を見たからわかる。確かな美学と、そして、悲しみのようなものが込められていた。
「兵器じゃないなら、なんだってんだ。」
「わからない…ま、作品が知りたかったら人を知ることよ。…単純に日記のように書いてあれば苦労はしないんだけど。」
原書…とはいえ、素直に書いてあるとは思えない。暗号化してあったりするんだろうな。なぞなぞは得意じゃないんだけど。肩をぐるぐると回して、本に向き合う。骨が折れるのは分かりきってる。ルパンがわざとらしくお辞儀をして、聞く。
「お嬢さん、何か手伝えることは?」
「そうだな…現状のルィティモ・プァーヴァルの本体の場所を突き止めてほしいかな? イヴァンの要塞からは運び出されてるはずだから。あとは、謎解きのお手伝いを。」
「お安い御用で。」
「俺には?」
次元がタバコをふかしながら問う。少し考えるが、現状で頼めることが何も思いつかない。んー…と唸りながら、思いついたお願い事を打診した。
「コーヒー淹れて?」
「お安い御用で。」
***
「…なに考えてるの?」
「いやいやこれには理由があってね。イヴァンは並並ならぬ愛国者だろ?本拠から離れるより、近づいた方が派手な狙撃は受けにくいって寸法さ。」
「それは…どうかな。」
ルパンの並べる理由には充分納得がいく。でも、何かが引っかかる。
「で、その本はなんなんだ。」
「これは、作品集。エルヴィン・ヒューリーのね。」
「エルヴィン。宗教建築の一人者じゃないか。」
車を降りながら、俺でも知ってる、と次元が口を挟む。
「エルヴィンの作品集なら市場にも出回ってるだろう。なんでわざわざ。」
追われる身だというのに、まばゆいばかりのスイートルーム。綺麗なソファに腰掛け、ローテーブルに本を乗せた。
「あまり知られていないけど、エルヴィンはプァーヴァル族と深く関わりがあるの。彼が建築家として成功したのは晩年の話ね。若い頃は、まだ隔絶されていたプァーヴァル族に弟子入りして、科学技術を学んでいた。そして市場に出回る作品集は、プァーヴァル族の情報を一切消去したものの複製の複製の複製。本物には、ほら。」
ページの真ん中あたりを開く。それは作品集というよりはスクラップブックのようで、手紙やスケッチ、写真がごちゃごちゃと挟まっている。
「こりゃまあ。この本だけでも豪邸買えるくらいの価値があるんじゃねぇの?」
「ルパンは、ルィティモ・プァーヴァルの本体を見たことある?」
「んにゃ、写真でしかないな。あれだろ、グリフォンみたいな…。」
頷いて、続ける。
「本物のルィティモ・プァーヴァルを見たよ。…イヴァン・ペルヴェムの寝室で。写真ではわからないだろうけど、首元のあたり、銘が入ってたの。エルヴィンが作品に必ずつけるものと同じ。」
ルパンがパラパラと作品集をめくると、ルィティモ・プァーヴァルの図案が出て来た。ぴゅうと、口笛を吹く。
「ビンゴ。なるほど、宗教建築にメダルが隠されていたのはそういう理由か。全てエルヴィンが制作に携わっていたもんなぁ。」
「ほとんど全部私が壊しちゃったけどね。」
ベェ、と舌を出して答える。
「これは私の勘でしかないし…うまく言えないけど、あれは、単純な兵器ではない…と思う。」
あの美しいものが、世界を破壊するためだけに生み出されたとは思えない。実物を見たからわかる。確かな美学と、そして、悲しみのようなものが込められていた。
「兵器じゃないなら、なんだってんだ。」
「わからない…ま、作品が知りたかったら人を知ることよ。…単純に日記のように書いてあれば苦労はしないんだけど。」
原書…とはいえ、素直に書いてあるとは思えない。暗号化してあったりするんだろうな。なぞなぞは得意じゃないんだけど。肩をぐるぐると回して、本に向き合う。骨が折れるのは分かりきってる。ルパンがわざとらしくお辞儀をして、聞く。
「お嬢さん、何か手伝えることは?」
「そうだな…現状のルィティモ・プァーヴァルの本体の場所を突き止めてほしいかな? イヴァンの要塞からは運び出されてるはずだから。あとは、謎解きのお手伝いを。」
「お安い御用で。」
「俺には?」
次元がタバコをふかしながら問う。少し考えるが、現状で頼めることが何も思いつかない。んー…と唸りながら、思いついたお願い事を打診した。
「コーヒー淹れて?」
「お安い御用で。」
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