終わりのはじまり
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ロープをよじ登り、眩しい地上に立ったとき、トレンチコートの大男とルパンが向かい合って立っていた。次元がため息をついたので、小声で尋ねる。
「知ってる人?」
「国際警察…ICPO。銭形のとっつぁんだ。」
「とっつぁん?」
耳慣れない響きに顔をしかめる。
「ルパンの腐れ縁だ。ルパンあるところに銭形ありってな。どこまでも追って来るしぶといおっさんのことよ。ルパンと連むんなら覚えときな。」
「ふぅん。ルパンってモテるのね。」
ひゅう、と風が吹き、塵が舞う。
「見損なったぞ、ルパン。盗みに女子供を巻き込むとは。そして盗品は世界征服兵器だと? お前の趣味も変わったもんだ。」
「とっつぁんが思っている以上に自体は複雑で難解なのよ。」
「そのようだな。」
とっつぁん、と呼ばれる男の視線が私に注がれる。
「かもめくんだね?」
名前を言い当てられたことに正直驚く。でも、そうか。国際手配制度ーーつまり、国外逃亡者や行方不明者の身元確認はICPOのお家芸。
「君の両親は悲しんでいるよ。」
どこまで調べられたんだろう。全くプライバシーなんてあったもんじゃない。不快感を皮肉で返した。
「私はキャベツ畑から生まれて来たんだけど?」
「表向きには抹消された、君の記録には、辻褄が合わない部分が多すぎる。こういう仕事をしているとね、時折、国政の汚さに嫌という程向き合わされるよ。国が君にしたことは、償いきれない。」
「別に償ってくれなくていいよ。結構今幸せだし?」
「そう皮肉を言わんでくれ。…まだ君は道を立ち戻れる。そのことを伝えに来たんだ。君さえその気になれば。」
「故郷に用事はあるけど、帰る気はないので、ご心配なく。」
車の後部座席に乗り込んだ。
「だとよ、とっつぁん。」
続いてルパンと次元が車に乗り込む。
タイヤがキュルキュルと音を立てる。「どこまでも追って来るしぶといおっさん」は、じっとこちらを見つめるだけで、少しも追ってはこなかった。
***