憂鬱な首輪
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すぐさま彼の拘束を解いた。手が自分のものじゃないみたいにぶるぶると震えていた。
「どうした、何があったんだ!」
「これ…プァーヴァルのメダル…。」
喉が言うことを聞かない。肩で息をしながら続ける。
「この真下、地下水路から、逃げて…水の流れに沿って行けば、迷わずに、出られるから。」
震える手で床に敷かれた金網を持ち上げようとするが、まるで腕に力が入らない。意図を汲んだ次元大介が金網を軽々と投げ捨てた。
「説明はあとだ!出るぞ!」
声が出せなくて首を横にふる。あの人の、血まみれになったイヴァンの指輪を手渡した。
「…私は一緒には行けない。起爆装置は盗んで来た、でもいつ爆発するかわからない。起爆装置を復元されるかもしれない。私の頭と一緒にみんな吹っ飛んじゃうかもしれない。私は一緒に行けない。」
それに、もう走れないし。と笑うと、彼は、苦いものでも噛んだような顔をした。そんな彼の頭に、回収されていた帽子を被せる。やっぱりあなたにはこの帽子が一番似合うよ。
「メダルを持って逃げて。そしてできたら、私と首と同じに、日本に埋められてる爆弾を解除して。お願い。」
タバコを買った時にもらった棒突きキャンディを乱暴にポケットに突っ込んだ。かの次元大介がこんなもの食べるだろうかと一瞬迷ったが、きっと何にも食べるものが無いよりはマシだ。第一、私にあげられるものなんて、こんなものしかないのだ。
「なぜ俺を助ける?」
何故って…理由は一つしかない。
「あなたみたいないい男、死なせちゃうのは惜しいから。」
手に彼の愛銃ーーマグナムを握らせ、胸ポケットに新品のペルメルを突っ込んで、さあ行って、と頰を撫でると、無精髭がちくちくと指に痛かった。
その感触を最後に、私の意識は途切れた。