憂鬱な首輪
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身体中を這い回る手に耐えた。きつい首輪にさらにきつく手をかける指に耐えた。きつく噛んだ唇から血が伝った。その血の赤さはさらにあの人を興奮させたようで、狂気に満ちた笑顔であの人は私の頭を抑える。
「耐えるお前もいい、たまらない…だが、どうだ?その小さな口から、可愛い声を聞かせておくれ。」
乱暴に口にねじ込まれる指に思わずえづいたが、その程度で容赦する相手ではない。
そう、だからこそ!
指輪の光る指に狙いを定めて噛みついた。
声にならない叫びをあげてあの人はのたうちまわる。
「貴様!自分の立場を忘れたか?!」
狼狽える男に世界一の笑顔を向けて答えてやる。
「日本のことわざって知ってる? 窮鼠猫を嚙む、ってね。」
ボフン、
間抜けな音を立てて、あの人の指は弾け飛んだ。
上下の前歯の裏に超小型の爆弾を仕掛けておいたのだ。凸凹型のそれは、組み合ってから上下の液体火薬が混じって時差式に爆発する。大した威力はない。でも指一本吹き飛ばすには十分だ。
起爆装置である銀色の指輪を回収して、プァーヴァルのメダルの箱を抱えて走り出した。けだもののように叫び声をあげる男には背を向けて。ピンヒールを脱ぎ捨てて、扉の横に隠していたいつものつなぎを転がり込むように着る。普段から服と靴が一体になっているものを着ていてよかった。これから瓦礫の中を進むことになるのだから。
日中館内に仕込んでいた爆弾に次々とスイッチを入れる。お得意のドミノ倒し。普通に逃げたんじゃ、勝ち目ないからね。
地下の拷問部屋にたどり着いた頃には、着込んだつなぎもろともすっかりボロボロになっていた。もうこれ以上走れない。でも走らないと死ぬんだ。汗が止まらないし、関節が痛い。生きるって走ること?
まともな声が出せない。それでも叫んだ。
「次元大介!」
***