桜色の季節
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
次の日。 古馴染みの街医者を呼んだ。かもめの足をあれこれと調べて、やはり捻挫だと診断した。
「2週間ほど安静にしておけば大丈夫。すぐに治りますよ。」
「2週間。」
怪我にしては軽度な部類だが、かもめはひどく残念そうに肩を落とした。
「何かあるのか。」
「桜が。」
「桜?」
かもめに詳しく話を聞くと、この国には珍しく桜の公園があるらしい。国同士の友好を願って日本から植樹されたもので、ちょうどその花の咲き頃だったらしい。
「みんなで見に行けたらと思ってたのに。」
「そうか。」
単純に、抱き上げてその公園に連れて行くことも考えたが、手負いのかもめを連れ出して、もしものことを考えると恐ろしい。
「俺のことも少しは心配しろよ。」
相棒は包帯を替えつつ悪態をつく。相棒の傷は見た目よりは軽いものだった。身動きが取れなかったのも、傷ではなく落下に伴う軽い脳震盪が原因のようだ。
「お前、今回のことはかもめに借りだな。」
「ああ。お返しは何がいいかなぁ…。」
包帯を変えてしょんぼりと口を尖らせる大泥棒に、ある考えが浮かんだ。そうだ、俺の相棒は、なんだって盗み出せる世紀の大泥棒。
「汚名を返上したくはないか?」
相棒に悪巧みを打ち明けると、歯を見せて笑った。
「乗ったぜ、その話。」
***