桜色の季節
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次元の方が気になって仕方ないけれど、狙撃手を悟られてはいけないので、そっちは向けない。
今回の仕事は仮面舞踏会、マスカレイド。きっと私が一生招かれることはない社交界のお遊びだ。私たちはパーティーの喧騒に紛れて、次元が与えてくれるチャンスを待つ。
社交界の自意識の殴り合いのような空間に、私は少し人酔いした。不安になって仮面越しにルパンに視線を配ると、大泥棒は私そっちのけに肌を露出したお姉さんたちに鼻の下を伸ばしている。全く美人に弱いんだから。
広間の大きな時計を見る。始まる。
時計の針が12時の所で重なった。響く鐘の音に、シンデレラの魔法が解けるように、爆発音とシャンデリアの砕ける音、人々の悲鳴が重なった。
私は仮面の細工を起動する。暗視ゴーグルってやつだ。ルパンとアイコンタクトを交わして、天井にワイヤーを投げる。伸縮するそれで空中へと飛び上がり、標的を目指す。次の瞬間。
パァン
なにかが弾ける音がした。
空中なので静止することもできず、ターゲットに向かってしまう。焦る気持ちを必死で堪えて手筈通りに仮面を奪った。
胸元に仮面を滑り込ませて振り向くと、パーティのご馳走とぐちゃぐちゃに倒れたルパンの姿があった。脚に狙撃がなされている。脳が冷たくなっていく感覚がした。
遠のいていく意識の中で、奇妙に冷静に冴えていく意識もあった。ルパンの下敷きになったテーブルのクロスをそのまま引っ張って体に巻きつける。ルパンの脚の狙撃は左脚、だからきっと次元の待機する側とは反対側からの狙撃だ。無理矢理にルパンをおぶって、右側の窓を目指した。予備のワイヤーを投げて、隣の建物目掛けて飛び降りた。
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