桜色の季節
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夜の街を見下ろすと、けばけばしいネオンと、人間の欲望が闇に揺れた。喧騒から離れた静かなこの場所では、光に誘われた虫が、蛍光灯に飛び込んでは弾かれる耳障りな音がする。
「お待たせ。」
僅かな衣擦れの音と香水の匂いに振り向くと、見違えるよう宵闇色のドレス姿の女が居た。いつもよりアイシャドウを濃く、大人っぽい化粧に、耳には揺れて光るイヤリング。髪はドレスに合わせて上に結い上げて、細いうなじを覗かせている。言葉を失って見とれていると、かもめは不安そうに眉を寄せた。
「やっぱり、似合わない?」
言葉が出なくて、タバコを一口吸う。煙と一緒に感想が遅れて漏れた。
「…いいんじゃねぇか? いつもと違って。」
このまま腕を引いて夜の街を散歩でもしたい所だが、かもめが着飾ったのは仕事のためである。かもめの肩に、いつもとは違う落ち着いたスーツを着たルパンが腕をかける。今回は随分簡素な変装だ。というのも、今から出向くのは、悪趣味な富豪の仮面舞踏会。狙いはこの国で最も美しい仮面。全ての人間が正体を隠すその場では、手をかけた変装など大した意味はない。
「俺様の見立ては間違ってなかったろ?」
「全く、つまんねぇ役所だな。」
「仕方ねぇだろ、今回の仕事には、次元ちゃんのその腕が必要不可欠なんだから。」
大泥棒は明らかに自分の役所を楽しんでいる様子だ。かもめの滑らかな鎖骨のあたりに指先を伸ばしている。苛立って短くなったタバコを吐いて捨てた。腕時計を見ると、予定の時刻が近付いている。
「触りすぎだ。…そろそろ時間だろ。」
「お〜怖い怖い。じゃ、かもめちゃん、そろそろ行こうか。」
ルパンはいかにも紳士らしくかもめの手を取ってエスコートした。二人の仲間は、細工を施した仮面をつけて、標的を目指す。
***
「お待たせ。」
僅かな衣擦れの音と香水の匂いに振り向くと、見違えるよう宵闇色のドレス姿の女が居た。いつもよりアイシャドウを濃く、大人っぽい化粧に、耳には揺れて光るイヤリング。髪はドレスに合わせて上に結い上げて、細いうなじを覗かせている。言葉を失って見とれていると、かもめは不安そうに眉を寄せた。
「やっぱり、似合わない?」
言葉が出なくて、タバコを一口吸う。煙と一緒に感想が遅れて漏れた。
「…いいんじゃねぇか? いつもと違って。」
このまま腕を引いて夜の街を散歩でもしたい所だが、かもめが着飾ったのは仕事のためである。かもめの肩に、いつもとは違う落ち着いたスーツを着たルパンが腕をかける。今回は随分簡素な変装だ。というのも、今から出向くのは、悪趣味な富豪の仮面舞踏会。狙いはこの国で最も美しい仮面。全ての人間が正体を隠すその場では、手をかけた変装など大した意味はない。
「俺様の見立ては間違ってなかったろ?」
「全く、つまんねぇ役所だな。」
「仕方ねぇだろ、今回の仕事には、次元ちゃんのその腕が必要不可欠なんだから。」
大泥棒は明らかに自分の役所を楽しんでいる様子だ。かもめの滑らかな鎖骨のあたりに指先を伸ばしている。苛立って短くなったタバコを吐いて捨てた。腕時計を見ると、予定の時刻が近付いている。
「触りすぎだ。…そろそろ時間だろ。」
「お〜怖い怖い。じゃ、かもめちゃん、そろそろ行こうか。」
ルパンはいかにも紳士らしくかもめの手を取ってエスコートした。二人の仲間は、細工を施した仮面をつけて、標的を目指す。
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