キスミー・クイック
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事は数週間前に遡る。
事前に帰りの遅くなる連絡は受けていたものの、かもめが心配になって、思わず駅まで迎えに歩いてしまった夜のこと。
けばけばしいネオンに照らされて歩くかもめは、一人ではなかった。
暗くてよく見えなかったものの、背の高く、ガタイの良い男と一緒だった。そこまでだったらまだ早とちりかもしれなかった。が。
かもめとその男は、去り際にハグをしたのだ。
「ーー別に、誰とどう連もうが、アイツの勝手なんだが、どうにもショックでな。」
「かもめちゃんには確かめたのか?」
「んな野暮なこと聞けるかよ。俺達は単なる仕事仲間なんだぜ?アイツの親でもなけりゃ恋人でもねぇ。…それに、聞くまでもない。」
「ハグくらいなら親しい相手にならするだろう?早とちりかもしんねぇぜ?」
「どっちにしたって、野暮な話だ。」
だいぶ酔いが回ったようで、熱に浮いた頭から言葉が素直に出てくる。勧められるままに差し出されたタバコを受け取って、火を付けて吸い込む。
「こんな気分になったのは初めてだ。…娘が親離れするってぇのは、こんな気持ちなのかねぇ。」
「それは、違うだろ、次元。」
ルパンはタバコを押し消した。気だるい思いで立ち上る紫色の煙を眺めながら、意味が測りかねて聞き返す。
「何が。」
「お前、本当に気付いてねぇの?」
「だから、何に?」
ルパンはあきれた様子で盛大にため息をついた。
「恋だろ、そりゃあ。」
***