へそ曲がり達のクリスマス
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甘い香りに鼻をひくつかせていると、扉の前から聞き慣れた声がした。低くて聞き心地の良い、僅かにかさついた声。
「おい、開けてくれ。」
「…勝手に入れば。」
「両手塞がってんだよ。」
ドアを開けると、彼の両手には、私がいつも使っているカップと、次元がいつも使っているカップ。片腕には紙袋を通して、本人の申告通り、随分大荷物な彼がいた。
「…おかえり。」
「ああ、ただいま。」
「食事してこなかったの?」
「お前がいなきゃ、行っても意味がない。」
差し出されたカップを覗き込むと、ホカホカと暖かい、甘い香りのホットココアが注がれていた。
嬉しい気持ちと、これもまた子ども扱いなのかという疑いに、心がぐちゃぐちゃになる。
「なんかお前、機嫌悪いな?」
「風邪っぽいだけだって。」
「…待たせて悪かったな。」
「別に気にしてない。」
ついつっけんどんなトゲトゲした言い方になってしまう。すると彼は、怒りもせずに紙袋を差し出した。
「悪かったな。…お前へのプレゼントは、難しいんだよ。」
思いもよらないことで、ぽかんとしてしまう。紙袋の中には、彼には決して似合わないかわいい包み。
「開けていいの?」
「多分笑うぜ。」
彼はヘソを曲げたように壁を向いてしまった。壁の方を向いて、ココアを啜った。
滑らかなシルクのリボンを解くと、中には不機嫌そうな灰色のクマが入っていた。
***