へそ曲がり達のクリスマス
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アジトに戻って、口うるさいかもめのせいで習慣になってしまった手洗いうがいをしにキッチンに入ると、流しに、小洒落た紙袋が放られていた。拾い上げて、軽く降ってみる。粉っぽい塊が擦れ合う音が耳をくすぐった。開けてみると、恐らくダークチョコレートを練りこんだ上品な生地に、アラザンやアイシングを飾り付けた星型のクッキーが入っていた。クッキーと言うと子供っぽい響きだが、それはあまりにも精巧で、食べてしまうのが勿体無いほどの美しい出来だった。こんな凝り性なことをやる奴は一人しかいない。
「かもめのやつ。」
どっかで何か地雷を踏んだのだろうか。風邪はきっと嘘だ。クッキーを皿にあけて並べてみる。いくつかは割れてしまっていた。そのかけらを口に含んで、予測は確信になった。
程よい厚みで、さくりと軽い食感。控えめな甘さ、後に続くほろ苦さと、わずかに香るラム。
それほど菓子好きではないが、いくらだって食べられそうな味だった。
キッチンに篭っていると思ったら、随分いじらしいことを。
ぼんやりしているようで、いつだって好みのど真ん中を外さない。天然なのか計算高いのか。どうやったって、アイツの仕業に違いない。
椅子に深く腰掛けた。ため息が出る。しかしどうしたもんか。何かで機嫌を損ねたのは間違いないが、思い当たる節が少なすぎる。待ち合わせに遅れたことか?世拗ねた自分には一番難しいことを考える。
「…素直に、聞くしかねぇのか。」
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