へそ曲がり達のクリスマス
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「かもめは?」
「キッチンに籠ってるよ。」
「何でまた。」
「知らねぇ。でも今入ったら怒るぜ。」
キッチンのほうを覗けば、ドアに貼り紙。目立つ赤いペンで、丸っこい字。アイツらしい奇妙な言い回しの注意書き。
『実験中! 危険につき しばし 入室 遠慮されたし』
またなんかやってるな、と、頭をかいた。まあ、キッチンにしろ何にしろ、篭ってるなら好都合だ。
「なぁ、ルパン。かもめになんだが、お前、何をやったら喜ぶと思う?」
何気なく聞けば、ルパンが飲みかけのコーヒーを噴き出した。
「…本当にかわいいね、お前ら。」
「なんだよ。」
「いやなんでも。…そーいうのは当人に直接聞いた方がいいんじゃねぇか?それか不二子に。男の俺にわかるわけないだろう。」
「かもめはあんまり物を欲しがらねぇんだよ。それにお前、不二子が欲しがるものをかもめが欲しがると思うか?」
「そりゃ最もだな。」
「好みが難しいヤツだから、適当なものやれねぇしよ。」
「クリスマスだから?」
「バカ言え、柄じゃねぇ。なんとなくだよ。」
二人ともほぼ無神論者で、クリスマスに興味も関心も薄い。ただ、年の瀬を二人で迎えられるのは本当に久しぶりで、街の雰囲気も手伝って、何か贈り物がしたくなったのだ。
「今までは何をあげたんだ?」
「物よりはこう…景色とかを喜ぶヤツだから、季節に海を見に行ったりとかな…。」
「かもめちゃんが安っぽいイルミネーションを喜ぶわけも無いか。」
アジトのローテーブルに季節感満載のチラシが散らばっている。この時期頼んでもないのにどこからとなく投函される緑と赤にまみれたチラシ。その一枚を、何気なく手に取った。
「そういやさっき、そこでかもめちゃんもそれをじっくり見てたぜ。」
「それって…これか?」
自分の手の中にはおもちゃ屋のチラシ。ピラピラと仰ぐと安いチラシ特有の、鼻をつくインクの匂いがした。まぁ遊び好きで幼い奴だが、いくらなんでもおもちゃが欲しいというのか。
「小さい頃、プレゼントとか貰えない子供だったから、ちょっと憧れがあるんだと。」
「ほぉん。」
「欲しくても貰えなかったから、自分で古着をぬいぐるみにしてたんだってよ。」
「ぬいぐるみ…ねぇ。」
言われてみれば、街中に出かけた時、ショーウィンドウに飾られたテディベアを随分と熱心に見ていたことがあった。あれは一体どこの通りだったか。
***