キスの練習
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「かもめちゃん、次元となんかあった?」
夕飯の後、お皿を洗いながらルパンが聞いた。昼間のことを思い出して、思わず吹き出してしまう。
「…どうして?」
「かもめちゃんずっと笑ってるし…次元の様子もおかしいし。気になるじゃないの。」
「っふふ…次元に聞いて。」
昼間のあまりにも初心っぽい彼の振る舞いを思い出して、また笑ってしまう。
ルパンはぽりぽりと頭を掻いた。
「次元は『かもめに聞け』ってさ。」
「…なんでもないよ。大丈夫。ただ、次元は優しいねって話だよ。」
夜が更けて、上からイビキが微かに響き始めて、下がいつもに増して静寂を極めた頃。
霧雨のような柔らかい雨が静かに降り始めた。木造の家が水分を含んでチョコレートみたいな匂いを醸し出す。
ベッドに寝転んで、流石にからかいすぎたかな、と反省した。
思いつきで、ヤニで汚れた薄い壁漆喰壁を指先でトントン、と叩く。しばらくして、向こうの壁から、トントン、が返って来た。
私のベッド際の壁は、隣の部屋のベッド側。薄い壁に、耳打ちするように囁く。
「…起きてるのね。」
『ああ、起きてるよ。』
「昼間のこと、謝ろうと思って。」
あってないような薄い壁だけど、顔が見えないと不思議と素直になれる。しばしの沈黙の後、低い声が聞こえて来た。
『二度とするんじゃねぇぞ。』
「そんなに嫌だった?」
彼が身を屈める衣摺れの音が聞こえる。
『あんな…行きずりみたいな流れで、お前とそういうことになりたくねぇんだよ。』
表情が見えないので、言葉の意味が測りかねる。
「…そっちに行ってもいい?」
『だから、そういう所だって言ってんだろ。』
「…私の顔見るのも嫌?」
バタバタと音がして、私の部屋の扉が開いた。
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