夜明けに白い花束を
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
なんとなくくすぐったいような感覚で目が覚めた。次元がいる。そのことがあまりにも幸せで、まだ寝ぼけた頭がとろけそうになる。しびれるほどかっこいい。タバコの香りが似合う人。ただ、起きて速攻帽子をかぶる癖はどうにかならないのか。挨拶しようとしたら、掠れた声しか出なかった。
「おはよう。」
「ああ、おはよう。」
低くて、でも不思議と通る声が返ってくる。あんなにタバコを吸っているのに、なんでそんな声が出るんだろう。
「寒いね、まだ布団から出たくないや。」
「ああ、だがそろそろあいつらが戻って来るぜ。」
「あとちょっとだけ…。五分だけ…。」
幸せな朝をもう少し噛み締めていたくて、体を絡めたけれど、薄く体毛が生えた男らしく硬い、温かなその体は、私をすり抜けていった。
「あぁん、次元。行かないで。」
広い背中がキッチンに立った。ルパンたちと比べたら少しだけ背が低いけれど、それでも私からしたら十分に大きいし、そうでなくとも筋肉が程よくついた体には厚みがある。キッチンに立つ男の人の背中っていいな。しばらくすると、芳しいコーヒーが香ってきた。枕元に彼が座って、ステンレスのカップを差し出した。
「熱いぞ。」
忠告はされたものの、彼は普通に持っているのだからそれほどでもないんじゃないかと受け取れば、とても持っていられない熱さで、危うく取り落としかけた。
「熱いっつったろう?」
「なんで普通に握れるの、おかしいよ。手の皮かかとぐらい分厚いんじゃないの。」
「お前の手の皮が薄すぎるだけだろうが。まぁお前のやわっこいかかとぐらいはあるんじゃねぇの?…目が覚めただろ。」
「おかげさまで。」
彼が淹れてくれたことが嬉しくて、コーヒーを飲み干すのが惜しくなる。ほろ苦くて、とても美味しい。隠れた才能じゃないか。
「なぁ、何か欲しいものないか?」
藪から棒に、彼が声をあげた。
「どうしたの、急に。」
「欲しがらないだろう、お前。」
「欲しいものは自分で手にいれる主義だもの。」
強がりを言ってみたけれど、実際私みたいな暮らしの人間には、物は持つだけ悲しいのだ。すぐに手放す時が来てしまう。あなたが居てくれれば十分なんだけど、と言いたくなって、コーヒーで慌てて口を塞いだ。
「贈り物がしたい気分なんだよ。」
「ふぅん。そう言う次元はないの。」
「俺はいつも貰ってるからな。」
「何を?」
特に何かをあげた記憶はなくて、思わず聞くと、彼は片方だけ眉を上げた。
「全部説明させる気か?」
帽子の下から覗くその目が、セクシーすぎて急に頰が熱くなった。決まりの悪さにゴワゴワした毛布を指でほじくる。真冬の草原みたいな妙な色の毛布だ。
草原。昔見た映画がふと蘇る。
「そうね、それなら。」
***
「おはよう。」
「ああ、おはよう。」
低くて、でも不思議と通る声が返ってくる。あんなにタバコを吸っているのに、なんでそんな声が出るんだろう。
「寒いね、まだ布団から出たくないや。」
「ああ、だがそろそろあいつらが戻って来るぜ。」
「あとちょっとだけ…。五分だけ…。」
幸せな朝をもう少し噛み締めていたくて、体を絡めたけれど、薄く体毛が生えた男らしく硬い、温かなその体は、私をすり抜けていった。
「あぁん、次元。行かないで。」
広い背中がキッチンに立った。ルパンたちと比べたら少しだけ背が低いけれど、それでも私からしたら十分に大きいし、そうでなくとも筋肉が程よくついた体には厚みがある。キッチンに立つ男の人の背中っていいな。しばらくすると、芳しいコーヒーが香ってきた。枕元に彼が座って、ステンレスのカップを差し出した。
「熱いぞ。」
忠告はされたものの、彼は普通に持っているのだからそれほどでもないんじゃないかと受け取れば、とても持っていられない熱さで、危うく取り落としかけた。
「熱いっつったろう?」
「なんで普通に握れるの、おかしいよ。手の皮かかとぐらい分厚いんじゃないの。」
「お前の手の皮が薄すぎるだけだろうが。まぁお前のやわっこいかかとぐらいはあるんじゃねぇの?…目が覚めただろ。」
「おかげさまで。」
彼が淹れてくれたことが嬉しくて、コーヒーを飲み干すのが惜しくなる。ほろ苦くて、とても美味しい。隠れた才能じゃないか。
「なぁ、何か欲しいものないか?」
藪から棒に、彼が声をあげた。
「どうしたの、急に。」
「欲しがらないだろう、お前。」
「欲しいものは自分で手にいれる主義だもの。」
強がりを言ってみたけれど、実際私みたいな暮らしの人間には、物は持つだけ悲しいのだ。すぐに手放す時が来てしまう。あなたが居てくれれば十分なんだけど、と言いたくなって、コーヒーで慌てて口を塞いだ。
「贈り物がしたい気分なんだよ。」
「ふぅん。そう言う次元はないの。」
「俺はいつも貰ってるからな。」
「何を?」
特に何かをあげた記憶はなくて、思わず聞くと、彼は片方だけ眉を上げた。
「全部説明させる気か?」
帽子の下から覗くその目が、セクシーすぎて急に頰が熱くなった。決まりの悪さにゴワゴワした毛布を指でほじくる。真冬の草原みたいな妙な色の毛布だ。
草原。昔見た映画がふと蘇る。
「そうね、それなら。」
***